Main 7 「これは、黒さんの意向?」 「……ああ。」 青さんは、オレの目を見ながら頷く。 「…お前は陽に会う気はないんだろう?」 「……今はまだ、その覚悟はありません。」 真っ直ぐに問われ、オレは正直に答えた。 青さんは、苦笑する。 ぽん、て頭を、慰めるみたいに軽く叩かれた。 「少しだけサポートしてやれ、との命令だ。…オレがしてやれるのはこれ位だから、後は自分でなんとかしろ。」 厳しくも聞こえる言葉に、オレは頬が緩んだ。 嬉しくて、笑ってしまう。 優しくて厳しいその言葉は、黒さんそのもの。 全部してくれるんじゃなくて、少しだけ手を貸してくれて、後は信じて見守ってくれる。 「…緊張感ねぇな…。」 ヘラヘラ笑み崩れるオレを見て、青さんは嘆息した。 「…でも、お前のそーゆートコ、オレは結構気に入ってるけどな。」 「へ?」 「総長に頼りっぱなしのお姫様じゃ、あの人の隣にいる資格はねぇ。…お前はギリギリ合格だって言ってんだ。」 「青さん…。」 そう言われて思い出す。 《陰/陽》の幹部連の中で、一番最初にオレを認めてくれたのは、この人だった。 厳しい事も言われたけれど、きちんと認める所は認めてくれるこの人を、オレは密かに尊敬している。 「…有り難うございます。」 「おう。…じゃあもう行くかんな。」 男前に手を挙げて、青さんはさっさと帰って行く。 オレは閉まった扉を見詰め、改めて思う。 「オレって、恵まれてんなぁ…。」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |