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オレの言葉に、しずかちゃんは目を見開いて、その後すっごく反対された。


オレに嫌な思いさせまいと頑張ってくれるしずかちゃんには申し訳なかったけど、オレもここで負けてらんないし。


最終的に押し切る形でどうにか同行を許された。


何度も、『オレから離れないでね』って念押しされながら、オレはとうとう、志藤家の本宅に足を踏み入れる。


お弟子さんなんだか、お手伝いさんなんだか、和服を着た女性に玄関で出迎えを受け、板の間の廊下を進む。


所々にさり気なく、綺麗に生けられた花に見惚れながら歩いていると、急に立ち止まったしずかちゃんの背中に激突しそうになった。


「…?」


何事?と彼の横から顔をのぞかせると、前から進んでくる女性が見える。


「……。」


…わぁ。


そう、心の中で思わず声をあげてしまう位、立ち姿が美しい女性だった。


年の頃は、四十手前位だろうか…藤色の和服に身を包み、艶やかな黒髪を結い上げた、品の良い女性は、しずかちゃんに気が付き、足を止める。


「……あら、静さん。」


「………お早うございます。母上。」


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