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「…………。」


扉を開けた瞬間、視線がオレに集まる。
ほぼ全員揃っている室内は、一瞬、シンと静まり返った。


……覚悟した筈、だった。
でもやっぱり、声が震えそうになる。

自分が思っている以上に、オレはこのクラスが好きだったらしい。


――怖い。
嫌われるのは、やっぱり怖い。


俯きそうになる顔を上げ、オレが室内に踏み出した、その時。


…ドンッ、
「…っ?」


横から、何かにぶつかる衝撃を受けた。


「うぉっ?…悪い悪い、よそ見してたー。…って、何その変な顔。」


オレに向けられたのは、突き刺さる様な糾弾…では無く、なんとものんびりとした謝罪。

顔を強張らせたオレを見て、ぶつかってきた相手…クラス委員長の羽生は、目を丸くした。


「どっか痛くした?」

「何やっている、委員長。…斎藤、痛いならちゃんと言え。慰謝料を払わせろ。」


心配してくれる羽生の横から、神林がオレを覗き込む。


「あーあ、委員長。酷ーい。朝から斎藤泣かせたー。」

「そーだよ。斎藤泣いてるよ!謝んなさいよ男子!」

「小学生女子かお前は!」


次々と会話に参加してくるクラスメイトに、オレは呆然とそれを見守る事しか出来なかった。


野次に紛れつつも、本当に心配してくれる奴らもいて、オレは自然ににやけてしまうのを止められない。



………オレってもしかしなくとも、凄い幸せ者だったりしますか?


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