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「っ、…うわっ!?」
漸く、彼女の細い足首と紐の間に親指一本分の隙間を作れたと思った瞬間、強い力で手を引かれる。
ドサッ
「っ…!!」
強引に引き倒され、背中に衝撃を受けた。
息が詰まりそうになるのを堪え、顔を上げようとすると、乗り上げるように上から、押さえ付けられる。
「…っ、」
目を開いたオレは、ギクリと身を竦めた。
至近距離にある、綺麗な顔。
その瞳の歪んだ光に、引き摺られそうに、なった。
「……オレはね、アイツ、静が、嫌いだ。……殺したいくらい、目障り。」
ニィ、と笑む尚久さんは、いつの間にか、一人称さえ違う。
人当たりが良く、行儀も良い良家のお坊ちゃんの顔を脱ぎ捨てた彼は、獲物を前にした猛禽類のような瞳で、オレをねめつける。
「人の家庭を壊した病原体の分際で、オレの場所を奪おうとする身の程知らずには、罰が必要だとは思わないか?」
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