[携帯モード] [URL送信]

Main
覚悟


「……………、」


尚久さんは、屋敷内を、奥へ奥へと進んで行く。


ついていきながら、オレはふと気付く。


彼の足取りに、全く迷いが無い事を。

止まる素振りも、無い事を。


普通誰かを探す時は、通過する際、辺りを確認したり、声を掛けながら進むものじゃないだろうか。

でなければ、見過ごしたり行き違ってしまう恐れがある。


ましてや、倒れている可能性があるなら、尚更。
部屋を一つ一つ確認する必要だってある筈。


なのに彼は、ただ真っ直ぐに進んで行く。


まるで―――




居場所を知っているかのように。



「………………!」


今迄、迷い無く進んでいた尚久さんは、ある一室の前で、ピタリと足を止めた。


「………………。」
「…っ、」


そして彼は、キョロ、と辺りを伺うように首をめぐらせた。

見つからないように、慌てて身を潜める。


壁際に張り付くように隠れ、そっと窺うと尚久さんは、その扉に手を掛けるところだった。


.

[*前へ][次へ#]

5/132ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!