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彼女の行方
「斎藤君と…桜子ちゃん?どうしたの?血相変えて。」
母屋に辿り着いたオレらを、不思議そうな顔で出迎えたのは、しずかちゃんのお兄さん、尚久さんだった。
オレが彼の問いに答える前に、桜子さんは、彼に駆け寄る。
「尚久さんっ!撫子見なかった!?」
確かに、撫子さんの婚約者である尚久さんなら、一緒にいる可能性も高い。
だが、掴み掛からんばかりの勢いで詰め寄る桜子さんに、若干気圧されつつも、尚久さんは困ったように眉をひそめた。
「…撫子?さっき広間で別れてからは見ていないけど…」
「………そう、ですか…。」
尚久さんの返答に、桜子さんは落胆し、俯いた。
顔色を無くした桜子を、オレは支えながら、尚久さんへ視線を向ける。
「広間での集まり以降、姿が見えないようなんですが…。」
「…そうか。…でも、それならまだ一時間くらいだろう。確かに撫子は体が弱いから心配だけど、あまり騒ぎ立ててしまったら、何でもなかった時に、彼女が責められてしまうよ?」
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