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日下部先輩は、しずかちゃんみたいに怯んだりはしなかった。


でもオレは、日下部先輩を見上げるように睨む。


「…日下部先輩もです!」

「…………。」

「先に食って掛かったのはしずかちゃんとはいえ、煽るような真似しないで下さいっ!こんな人様の家の廊下で殴り合いだなんてあり得ないです!!」


興奮しすぎて顔を赤くしているオレを、日下部先輩は、困ったような顔で見る。


「…聞いてますっ?」


オレが噛み付くと、日下部先輩は益々困ったような顔で、オレの目尻を指で撫でた。
滲んでいた涙が、彼の指の腹に掬われる。


「…分かった。……私が悪かったから、そんな顔で見ないでくれ。」


困り切った声音で、先輩はオレから目を逸らした。


「………どうせ変な顔ですよ。」


オレは子供みたいな癇癪を起こした事が恥ずかしくて、拗ねたように呟き、袖口で滲んだ涙を拭う。


「…変な顔だったら、こんなには困らない。」


先輩は口元を右手で覆い、ポツリと呟いた。


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