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「尚久の作品は、華やかで上品だ。…だが、綺麗にまとまりすぎている。決して枠を越えないソレは、一時目を引く力はあっても、繋ぎ止める力を持たない。」
「…………。」
「それに対しお前の作は、静謐で荘厳。一見地味に捉えられかねないが、その揺らぎない静に、引き込まれる者も少なくない筈だ。…私が、その一人だよ。あんなにも、寂しく痛く…そして美しい作品を、私は他に知らない。」
「………………。」
一、華道家として。
そう言った通り、しずかちゃんのお父さんは、しずかちゃんの作品を大層評価しているようだ。
だが、しずかちゃんの表情は晴れない。
寧ろ、辛そうだ。
「……貴方は、勝手だ。」
しずかちゃんは、抑揚の無い声音で呟く。
まるで全てを諦めたかのような無機質な声と顔で、息を吐くように告げる。
「オレも、尚久も、貴方の思い通りに動く駒じゃない。…惜しくなったから拾い上げて、いらなくなったら、捨てるなんて、オレ達はアンタの道具じゃねぇんだよ。」
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