Main 3 しずかちゃんの言葉…特に『父上の許し』の辺りで、しずかちゃんのお母さんは不快そうにピクリと眉をはね上げた。 「…あらそう。ではお父様にお願いしなくてはね。静さんが早く戻れるように。」 ニコリ、と唇だけで笑ってみせたお母さんに、しずかちゃんも口元だけで笑み返す。 「ありがとうございます。母上。」 ………怖ぇー。二人とも、目が笑ってないよ…。 「………ところで、静さん。其方の方は、どなたかしら?」 「…っ。」 今迄空気と化していたオレに、突然話題が向き、オレはゴクンと息を飲む。 しずかちゃんの肩が、ビクリと揺れた。 「……………。」 オレを庇うように、半歩前に出たしずかちゃんを見て、オレは覚悟を決める。 庇われる為に、此処に居るんじゃない。 隣に立つ為に、来たんだ。 スイ、としずかちゃんの横に出て、オレは笑顔で、しずかちゃんのお母さんにお辞儀をした。 「…はじめまして。静さんの後輩にあたります、斎藤 凛と申します。」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |