Main 寝呆け王子 「………………。」 しずかちゃんは、ぼんやりとした瞳で、オレを見つめる。 琥珀の様なその瞳に、自分が映っている事を不思議な心地で見つめていると、しずかちゃんは、そのままの体制で、オレの頬に手を伸ばした。 長くて形の良い指が、するりとオレの顎と頬を撫で、親指が唇を辿る。 「…っ、」 「…………。」 くすぐったくてピクリと反応すると、しずかちゃんは甘く瞳を眇め、 フワリ、と まるで花開くように、笑んだ。 「っ…!!」 うっわ…!! オレは思わず、鼻を押さえそうになった。 だって、美形の無防備な笑顔なんて、凡人には刺激が強すぎる!! 「…………、」 しずかちゃんは、とても嬉しそうに、幸せそうに笑んで、オレの髪に指を絡める。 ………ん? 何故か、ゆっくりと引き寄せられ、しずかちゃんの綺麗な顔が徐々に近付いてくる。 ……いやいやいや。 この距離は色々とまずくないですか? 吐息がかかる距離にあるしずかちゃんの顔。 しかも、オレを導くように引き寄せる指先は、明確な意図を持っており。 此処まで来て漸く、オレは焦りだした。 この人寝呆けてる!!絶対! . [*前へ][次へ#] [戻る] |