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※日下部視点です。


考えが全く読めず、私は更に言葉を重ねようとしたが、それを飲み込んだ。


…今は、気乗りしないのか、
それとも単純に、興味が失せたのか。


どちらにしても、これ以上の進言は、分不相応にあたるだろう。


役目は果たしたのだから、このまま退室しようと、口を開きかけると、決済し終えた書類を、スイ、と差し出された。


「……。」


受け取ると、男は万年筆を机に置き、長い足を組み換えた。


「…日下部。」


漸く、藍色の瞳が此方へ向けられる。


「…は。」


短く返事を返す。


「下の奴らにも伝えておけ。…もう探す必要は無いとな。」


「……了解致しました。」


…どうやら、後者だったらしい。


珍しくも、執着するものが出来たのかと思いきや、またこれだ。


…この男の興味を引き続けるものなど、この世界には存在しないんじゃなかろうか。


しかし、胸中で呆れにも近い思いを抱いている事など、おくびにも出さず、私は従順に頷いた。


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