Main 2 ※静視点です。 極平凡な容姿のりっちゃんは、普段のオレだったら絶対に声をかけなかったと思う。 オレ、すげー面食いだし。 でも、腹減ってたし、動くのも面倒だったから、たまたま通りかかった彼の足を掴んだ。 オレが笑いかければ、皆、顔を真っ赤にして何でも言う事聞いてくれるから、りっちゃんも、弁当だけ奪ってサヨナラする気だった。 でもりっちゃんはオレの笑顔見て、嫌そうに顔を歪めた。 …その上怒られて。 オレにしてみたら、正に青天の霹靂? オレの事嫌いなのかなってぼんやり思ってたのに、お願いしたら、ちゃんと弁当分けてくれたのも、オレ的に驚き。 …だって今まで、オレの周りにそんな人、いなかった。 オレの事好きな奴は、皆、媚びてきて。 オレの事嫌いな奴は、皆、襲い掛かってきた。 りっちゃんはオレに、媚びたりしない。 りっちゃんはオレに、襲い掛かってもこない。 きっと、あんまり興味がないんだと思う。 でも、悪い事したら怒って、お願いしたら、自分のお昼を半分くれた。 りっちゃんにしてみれば、真っ当な事なんだろうね。 でも、そんな普通の人間扱い、オレは、初めてされたんだ。 いつの間にか、オレはニコニコあり得ないくらい笑ってて。 上っ面だけで笑ったときは、しかめっ面したりっちゃんは、アホのコみたいに笑うオレに、凄く綺麗に笑い返してくれた。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |