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※未来視点です。


安穏と暮らしていた僕には、彼の痛みは、欠片も理解出来ないんだろう。


小さな子供が、痛みと苦しみを飲み込み、孤独に耐えるような悪夢、
僕には想像もつかない。


「…それから成長して、健康になっても、その呪縛はオレにかかったままでした。







―――あの子に、会うまで。」



そう彼は、嬉しそうに笑った。


少し幼く見えるようなその笑みに、初めて彼が、同い年の少年に見えた。



「あの、子…?」


その単語が、誰を指すのか。
…脳裏に、一人の少年が思い浮かぶ。


「………。」


彼は翠緑の瞳を、弓形に細め、笑みを深めた。




「……生まれて初めて、弱さを、受け止めてくれる人に、出会った。」


彼は、一語一語、愛しむように、言葉を紡ぐ。


その笑みが、
その声が、
その瞳が、


『あの子』への愛を、惜し気もなく、伝えてくる。


「オレの痛みも苦しみも、あの子だけが知っていればいい。……オレの傍には、あの子しか、いらない。」


狂気さえ感じさせる一途な瞳が、真っ直ぐに僕へと向けられる。



睨まれているわけでも無いのに、射すくめられたように、体が硬直した。



「…ねぇ?」


ゆっくりと、彼の瞳が、眇められた。










「……あの子は、何処ですか?」


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