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何この学校。


「《ケルベロス》の総長が、人を探している」

「…………はい?」


 西崎の言葉に、オレはポカンと口を開けた。
 予想外すぎる名称に、咄嗟に反応出来ない。軽く十秒強、固まった後に出たのは、酷く間抜けな相槌だった。

 今、何て言った……?

 阿呆顔を晒すオレを見て、西崎は目を伏せ、ため息を吐き出す。


「……突然『総長』と言われても、ピンとこないのが一般的な反応だろうな」


 一般人には馴染の無い言葉だから仕方ない。そう判断し、勝手に納得したように、西崎は頷く。

 だが実は、オレが呆けた理由は、それではない。
 引っ掛かった単語は別のものなのだけれど、取り敢えず今は、それは置いておく事にする。


「≪ケルベロス」は、この辺り……北区一帯を縄張りとする不良のチームだ。規模はかなり大きく、うちの学校にも結構いる」

「……お坊ちゃん学校じゃなかったのかよ」

「お坊ちゃんも鬱積が溜まるんだろう?良く知らんが」


 ゲンナリと呟くオレを一瞥し、西崎は大して興味も無さそうに、そう言い捨てた。


「そして、ここからが最も重要だが、その《ケルベロス》の総長こそが、うちの学園の生徒会長だ」

「……はぁっ!?」


 一拍空けて、オレは目を見開き、叫んだ。
 さっきの驚きなど、比べものにならない位の衝撃が襲う。


「ななな、何て……」


 何て言った。
 そんな短い言葉すらまともに言えなくなる程に、動揺し驚愕していた。
 
 生徒会長が……総長!?
 
 何この学校!!馬鹿なの!?

 あり得ないだろ、普通。
 生徒の見本となるべき生徒会長が、不良の親玉とか……馬鹿なの!?



「ちなみに副会長が、副総長だ。なんの捻りも無いが」

「いやいや!!十分ショッキングだよ!?同じように副って付いても、やる事真逆だから!!」

「……そういう新鮮な反応見ていると、お前が外部生だって実感するな」


 普段の面倒臭がりで緩いオレは何処へやら。テンション高い突っ込みをするオレを眺め、西崎はしみじみと呟いた。

 そんな西崎の言葉を反芻して、オレは軽く目を瞠る。
 外部生だから驚くって事?つまりは……。


「え?持ち上がり組の常識なの?コレ」


 今まで口を挟まず傍観していた武藤に問うと、アッサリと頷いた。


「知らない奴の方が少ねぇだろうな」

「マジか」

「表立って言う奴は、流石にいないが。公然の秘密、と言ったところか」


 武藤の言葉を引き継ぐように、西崎が付け足す。

 なんて事だ。
 良家の子息が通う金持ち学校だと聞いていたのに、蓋を開けてみれば、普通の学校と大差ない。……否、普通の学校よりも性質が悪い。

 品行方正であるべき生徒会が、率先して風紀を乱し、且つ、それを誰も咎める事が出来ないだなんて。
 オレ自身も、人を糾弾出来るようなお綺麗な身の上ではないので、許せないなんて言うつもりはないが……。


「……はぁー……」


 驚きどころが多すぎて、何か疲れた。
 長く息を吐き出したオレは、脱力し、手足を投げ出した。


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