Main 3 ※清水視点です。 ガラッ 前の扉を開け、奴が教室へと入った瞬間、後ろの扉から、何と陰が飛び出してきた。 …信じられねぇ。 なんたる奇跡。 呆然としているオレと目が合った陰も、ギョッと目を見開いている。 我に返ったオレは、軽く手を振って、さっさと行け、と身振りで伝えた。 オレの意図を素早く理解した陰は、即座に階段を駆け上がって行く。 …本当、アイツは時々、何かついてんじゃねーか、ってくらい、ツキを運ぶ。 アイツの武器は、方向感覚の良さと、地図の暗記。 そして己自身で集めた、機械では真似できない細かい地理の把握。 それだけではない。 アイツはたまたまだ、と言っていたが、あのカンの良さとツキを呼ぶ力は、立派な武器の一つだ。 「少し、いいですか?」 適当な奴を捕まえて、話を始めている陽は、既に目立っていた。 突然現れた、王子様のような美形に、周りは色めきたっている。 「少々お伺いしたいのですが、…このクラスは何人ですか?」 問われた少年は、陽の笑顔を見て、頬を真っ赤に染めている。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |