[携帯モード] [URL送信]

Main
3


「……。」


西崎は、じっとオレを見つめた後、小さく嘆息した。


「そうだな。…平凡のイメチェンした理由なんて、平凡なものだろうからな。オレが聞く価値のあるものじゃないな。」

「…自分から聞いといて、凄い言い種だね。ハルちゃん。」


西崎がいつもの調子で、毒づいたのを見て、オレは内心、安堵した。


最近の西崎はたまに、見たことの無い人みたいな顔をする。
オレはそれが、あんまり見たくなくて、何とかやめさせようとする。


…変身した理由だって、聞きたいようには見えなかった。


聞きたいわけではなく、聞かなければいけない、みたいな。

判決を待つ囚人のように、静かで無機質な…何の希望も持っていないようなその顔を、西崎にさせたくなくて、オレは色々考えるんだ。


「ところで、ハルちゃん。武藤は?」


「…後ろ。」

「へ?」

パコッ

「痛っ!?」


振り返ると、武藤がいつもの仏頂面で立っていた。
手には丸めたノートを持って。


.

[*前へ][次へ#]

16/141ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!