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「これは、黒さんの意向?」
「……ああ。」
青さんは、オレの目を見ながら頷く。
「…お前は陽に会う気はないんだろう?」
「……今はまだ、その覚悟はありません。」
真っ直ぐに問われ、オレは正直に答えた。
青さんは、苦笑する。
ぽん、て頭を、慰めるみたいに軽く叩かれた。
「少しだけサポートしてやれ、との命令だ。…オレがしてやれるのはこれ位だから、後は自分でなんとかしろ。」
厳しくも聞こえる言葉に、オレは頬が緩んだ。
嬉しくて、笑ってしまう。
優しくて厳しいその言葉は、黒さんそのもの。
全部してくれるんじゃなくて、少しだけ手を貸してくれて、後は信じて見守ってくれる。
「…緊張感ねぇな…。」
ヘラヘラ笑み崩れるオレを見て、青さんは嘆息した。
「…でも、お前のそーゆートコ、オレは結構気に入ってるけどな。」
「へ?」
「総長に頼りっぱなしのお姫様じゃ、あの人の隣にいる資格はねぇ。…お前はギリギリ合格だって言ってんだ。」
「青さん…。」
そう言われて思い出す。
《陰/陽》の幹部連の中で、一番最初にオレを認めてくれたのは、この人だった。
厳しい事も言われたけれど、きちんと認める所は認めてくれるこの人を、オレは密かに尊敬している。
「…有り難うございます。」
「おう。…じゃあもう行くかんな。」
男前に手を挙げて、青さんはさっさと帰って行く。
オレは閉まった扉を見詰め、改めて思う。
「オレって、恵まれてんなぁ…。」
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