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《 Book 》

気が付くと、私は心地の良い温もりの中にいた。
さっき迄より強く感じる、仁王君の香り。

ああ、私は今抱き締められているのだ…。
最愛の彼に……。

気づいた瞬間、幸せな気持ちに包まれて。
左右に垂れていた腕で精一杯彼を抱き締め返した。

気まぐれな銀の髪が、頬に当たって擽ったい。


「心配しすぎなんは、柳生も一緒じゃ」

「そんな事は…」

「大丈夫、ちゃんと分かっとるから」

“ありがとう”
そう呟いた小さな声が、体に直接響いてくる。


「キス、してもよか…?」

いつも勝手にするくせに。
唐突な言葉に反応して浮かんだ台詞は、心の中に留めておいた。

でも。返事をするのはやっぱり恥ずかしいから。

分かりきった答えを口にする代わりに腕の位置を彼の首へ移す。

「好いとおよ…。他の誰より」

「私もです」

近づいてきた彼の綺麗な顔が触れ合う寸前で止まって。
小さく笑い合ってから、優しい口付けを交した。




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あきゅろす。
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