Case1. 〜Poisoned〜 「…切原君?」 震える私の体から発せられた、まるで怯えているかのような音声に寒気がした。 おかしい。私は今、こんなにも楽しくて堪らないのに。 可笑しい。 「柳生先輩じゃないッスか。…驚いたなぁ。アンタ、まだ生きてたんだ?真っ先に誰かに殺られてると思ってたのに…。案外しぶといんですね」 「切原君、それ…。怪我、してるんですか…?」 「心配してくれなくても大丈夫ですよ。俺の血じゃありませんから。…っていうか、今日まで生き残るってことは、アンタももう誰かしら殺ったって事ッスよね?」 「え…?」 「いい加減、善人ぶるの止めてくれません?」 「ちっ、違います!私はずっとここに隠れていたんです!誰も殺してなんか……」 「は…?」 「本当です!」 「先輩、このゲームのルールちゃんと分かってます?」 「分かって、ます…。だから、誰にも会わないですむように…」 「――アンタ、生き残る資格ないですよ」 銃口がこちらを向く。 けれど、怖くなんかなかった。最高に愉快だ。そんな私の心境なんて知らずに、一歩ずつ、ゆっくりと切原君が私に近づいてくる。 始まる、カウントダウン。 じゅう きゅう はち… [*前へ][次へ#] |