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「やっぱりこうやって怠惰にかまけているのが一番だね」


君もそう思うだろう?と私の膝の上に寝転ぶ彼女の首筋をツ…、となぞりあげる。そうすると言葉を理解しているのかいないのか、熱っぽい鳴き声を上げて喉を震わせる


「良い鳴き声…、君は人間に媚びを売るのが上手いね。いい事だ」


「ウニャーン、」


長くしなやかに揺れる尻尾を見てクスリと笑う。残念だねセバス、彼女が求めるのは私だったようだ。


「嗚呼…君はいつだって私の望む反応をしてくれるね、心のオアシスだよ」


「ニャン」


夜遊びはセバスに禁止されてるからめっきり女性とは交われない。故に可愛い反応を見れないのでこの子と遊んでると凄く楽しい、気休めにしかならないけれど。


「はぁ…私は馬鹿で愚かな美しい女性が好みなのに…」


欲の海で溺れ死ぬくらいに馬鹿な女性がいい、最後は躯を魔性の魚に啄まれて腐乱死体で浮かび上がるような女性。私みたいに。


「ニャ、」


「…おや、どうしたんだい」


耳がぴくりと動くと瞬時に膝の上から駆け出していった。不思議に思い耳を澄ませると聞こえる足音、セバス…ではない。聞き覚えのないステップを踏むような軽いリズム。


「あら?まだ使用人がいたのね!可愛くしなきゃっ」


「フフ…、随分と元気な子兎だね」


足音の持ち主に向かって微笑んだ。


「わ、あ…お人形さんみたい…」


「それは褒め言葉として受け取ってもいいのかい?」


寄り掛かっていた大木に手を付いて立ち上がり小兎の様な少女の前に近寄る。少女の目線に合わせて屈み、瞳を細めて二度目の微笑み。


「も、勿論!」


「有り難う、小兎ちゃん」


頬を林檎色に染めて何度も頷く少女。大方香水にも似た吸血鬼特有のフェロモンを惑わされたのだろう。
こうゆう直情的かつ感情的な女性は惑わされ易い、まぁそれを狙って近付いたのだけど。きっとこの少女は美しく成長する。自分好みに調教した彼女を吸血、なんて素敵じゃないか


「あの、私エリザベスっていうの!リジーって呼んでねっ」


「そう…リジーね、私はディールだよ」


「…ディール姉様…っ」


胸の前で手を組み恍惚とした表情で私の名前を呼ぶ。だが何かを思い付いたらしに突然私の腕を引く、若干苛ついたが女性なので此処は穏便に済ませよう。


「…どうしたのかな?」


「…絶対姉様に可愛いお洋服着させたいわ!」


「おや、」


…案外活動的な性格だね、この私を着せ替え人形にしようだなんて。


「ああん、どうしよう!ディール姉様はなんでも似合いそうっ!」


「当然だよ」


小兎少女に手を引かれ、屋敷の中へと戻った。



あきゅろす。
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