text(ジャンルごっちゃ。)
痛み(切甘?/ベルフラ)
「ししっお前ら弱すぎだっつーの」
そう言って敵に止めを刺す先輩に見惚れていると
「てんめっ!今日も匣開けなかっただろ!!」
と、怒ってくる先輩にもときめいてる自分がいることに気づき自分はどれだけ乙女思考なのだろうかと苦笑いをこぼした。
「何笑ってんだよ」
『別になんでもありませんよー。て言うかミーはポーズをとらないと開口できないんですってば』
そんなことは嘘なのだが。本当は先輩の戦ってる姿を見てました、カッコよかったです、なんて絶対に言えないし。そんなに素直じゃない。
「お前いつもそればっかだよな。あ、もしかして王子に見惚れてたりして?」
『な、何を言うかと思えばっ!そんな訳ないじゃないですかー!!』
多分冗談で言ったんだろうが図星だったので少し焦って大声を出してしまった。
やばい…と思い先輩を見てみるといろいろな感情が織り交ざったような複雑な表情をしていた。
気になって、先輩?と呼びかけてみると小さく、何か呟いた。
『…?どうしたんですかー?』
「……お前さ。そんなに王子のこと嫌いなの?」
…今先輩なんて言いました?意味がわからないので聞いてみる。
『えっと…言ってる意味がよくわかりませんがー?』
「だからっ!俺のこと嫌いかって聞いてるんだよっ!!!」
先輩が“俺”と言ったことに驚いた。が、それ以上に嫌いかと聞かれたことに驚いた。
ここまで言われたら多分素直な子なら好きと言えるのだろう。
だがミーは生憎そんな素直さは持ち合わせていない。
寧ろ頑固で強がりなほうだ。
だから――
『嫌い、ですー』
なんて、言った。言ってしまった。
でも言ってしまったことは仕方がないのだ。ミーも同じことを聞き返してみる。
『せ、先輩こそっ…ミーのこと嫌いなんでしょー?』
すると先輩は一瞬驚いたような顔をしたがすぐにいつもの顔に戻った。
「っ…ああ」
ミーは目の前が真っ白になった。
愛さなければ
(この痛みを知らなくて済んだのに)
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