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泣かないで。と黒猫は願う
*ツイッタ診断で出た【にゃんこ臨也×子静】
*臨也がにゃんこです(動物的な意味で)
*子静とにゃんこという診断結果に愛が暴走しました



「あ、イザヤだ」

名前を呼ばれて黒猫は背後を振り返れば、そこにいたのは黒猫の予想した通り黒いランドセルを背負った静雄であった。
もっとも野良猫の彼のことをイザヤと名付けたのは静雄自身で、その名前で呼ぶ人物は静雄とその弟の幽ぐらいだ。

野良猫は処分されると聞いたからと、静雄がイザヤに赤い首輪が着いたのは記憶に新しい。

静雄の学校帰りの同じ時間、同じ通りでイザヤは彼と会うのを楽しみにしていた。

それは静雄も同じで、自分にすり寄ってくるイザヤの夜色の毛並みを撫でるのを楽しみにしていた。

だが、ある日を境に静雄はイザヤの前に姿を見せなくなった。

おかしい、と黒猫は考える。
いつもだったら静雄とはこの時間のこの通りで会えるはずだ。
しかし、静雄は来ない。
疑問を抱きながらも黒猫は長い尻尾を動かしながら、静雄を待った。


それから幾日、もしかしたら幾月だったかもしれない。
ばたりとイザヤと静雄は会った。
いつもの通りではない、違う場所で。
何故だかは知らないが逃げ出そうとした静雄の足に、イザヤはしなやかな身体をすり寄せる。

静雄は以前と同じようにすり寄ってくる黒猫の毛並みを撫でるが、何故か怯えたように恐る恐る撫でる。

――シズちゃん、どうしたの?

そう問いたくても猫であるイザヤの口から出るのは人間の言葉ではなく、にゃーという鳴き声だった。

猫の身では、言葉を伝えることも、その小さな身体を抱き締めることも出来ない。
そんな自分を恨めしく思っていたら、静雄がぽつりと言葉を漏らした。
ただ一言。ごめんな、と。

――なんでシズちゃんが謝るの?

「おれは化け物だから、イザヤを壊しちまう」

人外の力に目覚めてしまった静雄は、黒猫を壊さないようにと故意に避けていたのだ。

――あぁ、馬鹿なシズちゃん。

静雄の目から流れ出る涙を、ざらりと舐めとりイザヤは思う。

――俺はそう簡単には壊されないのに。だから…

泣かないで。と黒猫は願う
(誰よりも優しい化け物に)







あきゅろす。
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