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幸福の青
周りを見れば、そこは青一色だった。

海のような蒼ではなく、空を連想させる青だ。

その青はどこまでも広がっていて、果てがあるのかどうかもわからない。

静雄はブリッジを押し上げてサングラスの位置を直そうとして、自分がサングラスをしていないのに気付く。

周囲を見渡しても、ただただ青が広がっているだけでこの空間にいるのは静雄一人だ。

だが不思議と寂しいとも思わず、感じたのはむしろ、安らぎや幸福感だった。

ふと、静雄の横を白い何かが通っていった。
もくもくと隆起したそれはまるで雲のようで、静雄はここが空なのだと考える。

前後左右はもちろん、天地すらも青の空。

歩みを進めればまるで空を歩いてる気分になる。

あまりに非現実的なことに静雄はくすりと笑った。


*******


「…んぁ?」

静雄が目を開けばそこに広がっていたはずの青はなく、代わりにいつもの見慣れた職場の光景が広がっていた。

「お。やっと起きたか。すげー爆睡してたべ」

静雄がぼんやりと、あれは夢だったのかと考えいれば上司のトムが声を掛けてくる。
その手には静雄のサングラス。
睡眠の邪魔にならないようにと外してくれたのだろう。

「ありがとうございます」

差し出されたサングラスを受け取り礼を言えば「別に大したことはしてねーよ」とトムは言う。

窓から差し込む陽が眩しく、サングラスをかければそこにあったのは夢と同じ青。

――案外、幸せって身近にあるのかもな。

煙草を取り出し、一服すればたなびく紫煙が青に溶けていった。
幸福の青
(幸福はいつもそこに……)




過去拍手です。テライミフ。
多分そのうち消します。イミフすぎて


あきゅろす。
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