[通常モード] [URL送信]
気付かないフリをする
「なぁ静雄。神様って信じるか?」

「…はい?」

「いやな、さっき街角の宗教勧誘見ておもったんでな」

あまりに唐突な上司の言葉に、敬愛する上司が変な宗教にでも入ったのかと思った静雄だったが、どうやら杞憂だったようだ。

煙草を一息吸い、紫煙と共に言葉を吐き出す。

「俺は神様なんて信じてませんよ」

もしいるのなら何故、自分にこんな傷付けるしか出来ない力を与えたのか。

自分の怪力に苦悩し、神を恨み、そして否定した。

それでも、もしいるのならば――

「もしいるなら、その神様とやらを一発ぶん殴ってやりますよ」

その言葉に上司はそうかと短く返事をしただけだった。

ふと静雄の脳裏を過る無神論者の情報屋。

アイツだったら俺の事を一頻り馬鹿にした後、神の存在を否定するのだろう。
そんな事を考えた自分に自嘲の笑みが浮かんだ。
俺は今日も気付かないフリをする


本当は自分の気持ちなんてわかっている。
ただ認めたくないだけだ。




------
過去拍手文。gdgd。
→臨也


[#Next]

あきゅろす。
無料HPエムペ!