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臆病者は否定する
*社長臨也→←秘書静雄
*静雄サイド
*実は茶会ログ


ブラインドも下ろされた暗い社長室のソファで静雄は横たわっていた。

この部屋の主は別件だとかで出掛けてしまい、残るのは情事後特有の臭いと、革張りのソファと静雄に付いた白濁だけだ。

むくりと起き上がり、自分の胎内に残った白濁を掻き出し、ソファと内股に付いた白濁を拭い片付ける。

点々と脱ぎ散らかしてある服は見ないことにした。

部屋主の計らいで置いてある予備のスーツに着替え、深い溜め息を吐く。

――俺は一体何をやってるんだ。

自らの内なる問いに答えてくれる人物は誰もいない。

――アイツが俺を抱くのはただの性欲処理で、それ以外の何物でもねぇ!

社長もとい臨也との情事が一瞬頭を過るが、欲情するわけでも羞恥するわけでもなく、静雄はただ、嫌悪した。

――勘違いするな。アイツが俺に好意を持ってる訳がねぇ。あり得ない。

へたりと床に座り込み、静雄は頭を抱える。

――忘れろ!捨てろ!アイツへの想いなんて!全部消えてしまえ!

ひたすらに床を殴り付け、自らの想いを否定する。

――きっとこの惨めな関係も、すぐに終わる。いや、終わらせよう。

話をつけるんだ。そして、明日からはただの上司と秘書になる。それでいい。それがいい。
臆病者は否定する
殴り付けたせいで凹んだ床に一滴の涙が落ちた。





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