おはようのチュウ
雲雀の腕のなかで、もぞもぞと動く名前。
まだ起きたばかりの、眠気眼をクシクシと擦りながら目を開ければ、目の前に雲雀の寝顔が見える。
『ふぁ〜』
名前は小さな欠伸を飲み込む。
おきないかなぁ…。
整った雲雀の寝顔をマジマジと見つめ、コテリと小さい頭を雲雀の胸に当てる。
う〜ん。
起きる気配のない雲雀の腕の中で、顔を上げ、毎朝の定番おはようのチュウを、雲雀に送ってみる。
おきた?
雲雀の寝顔も好きだけれど、やはり起きて欲しくて…
ワクワクと待つものの起きない雲雀。
あれぇ?おきない?
もっかい、したらおきる?
再び名前のプックリしたピンク色の唇が雲雀の頬に軽く触れると、名前を抱きしめる腕にギュッと力が入り、二人の密着度が更に増す。
名前の唇が雲雀の頬にくっ付いたままの態勢。
『ふぁぁ!』
思わずジタバタともがく名前に、クスリと笑う。
『きょうやくん。おきてたのぉ?』
「今起きた所だよ。おはよう」
名前がもぞもぞと動き出した所から既に起きていた雲雀だったが、名前の動きが可愛く、寝たふりをしていた。
名前のおでこに軽くチュッと、おはようのチュウをすれば、嬉しそうに笑う名前。
『きょうやくん、おはよぉぉ〜』
「ん…」
布団の中で見つめ合う二人ではあるものの、方やもう起きたくてうずうずしている名前と、方やまだまだ微睡みの中の雲雀。
雲雀の腕から抜け出そうとする名前の体を、雲雀は抱きしめて離さない。
『ふぉ?く、ぐるしぃよぉ?』
「まだ起きるの早いよ」
『ん?』
名前を抱きしめながら、雲雀は自分の頭を名前の頭にコツンと当てる。
「もっと僕の腕の中で寝ていなよ」
幼い名前に、甘えるように囁く雲雀。
『う…』
唸る名前に、優しく甘い啄むようなキス。
「おやすみのキス」
『ほえ?』
おはようのチュウをしたのに、おやすみのチュウをされて混乱する名前を余所に、雲雀は、名前を抱きしめたまま二度寝を決め込む。
雲雀の心地よい腕の重みと暖かさで、起きた筈の名前もなんだかまた眠くなって来てしまう。
『ふぁぁ〜』
小さく欠伸をしながら、コテリと雲雀の胸にくっ付いて眠りに着く名前の頭を優しく撫でながら、その柔らい温もりを堪能する。
起きたらまたもう一度
おはようのチュウをしよう。
何度でも、飽きることのない甘い朝。
2010/03/04
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