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(一周年記念)ままごと遊び*2

『ヒバードぉーもすこしでできるよぉ』

名前はハルから貰ったままごとセットを駆使し、何やら料理ごっこ中。
鼻歌混じりのご機嫌モード。
その横で、折りたたんだタオルを無理やり被せられたヒバードが、ジタバタともがいている。

『あ〜っ!!ヒバードぉだめよ〜っ!!ヒバードはぁ、あかちゃんなの、だからぁそこでねんねすんのよ!』

名前の勝手に決めた配役にヒバードが納得する訳もなく、布団代わりとなっているタオルから抜け出し、名前の頭の上にポフリと乗る。

『もぉ〜。あかちゃんは、おかあさんのあたまにはぁのんないのよぉ』

名前が、膨れっ面をしながら頭をブンブンと振れば、名前の頭の上からヒバードは飛び立つて、乗り慣れたもう一つの頭を発見しポフリと乗る。

『あーヒバードぉ〜。まてぇ!!』

逃げてしまったヒバードを追い掛けようと立ち上がり振り向けば、名前の大好きな人が、何時ものように少し不機嫌そうな顔をしながら立っている。
そんな顔をしていても不機嫌ではない事を知っている名前にとっては、全く気にならず嬉しそうな顔を向けてパタパタと雲雀に走り寄る。

『あ〜っ!!きょうやくん』

嬉しそうに雲雀の足に子犬の様にじゃれる名前の頭を、雲雀はフッと口を綻ばせながらクシャリと撫でる。

「何してるの?」

名前がいた場所に広がるままごとセットをチラリと見詰める。

『んとね、んままごと』

「…んままごと?」

『うん。とね、ハルちゃんががくれたの。んでね、ヒバードあかちゃんでね、わたし、おかあさんなんだよ』

「ままごと?」

『うん。んままごと』

「きょうやくんも、いっしょしよぉ!!」

キャッキャとはしゃぎながら雲雀の手を掴むと、ままごとセットの方へと引っ張って連れて行くと、名前はその場にちょこんと座り、畳をポンポンと叩いて雲雀に座ってと笑う。

『きょうやくんはぁ、おとおさん』

「……」

名前に無理やり引き摺られ座ったものの、女の子の遊び…と言うか子供の遊びにどう対応すべきなのかなど分かる訳もない。
口をへの字にしたまま腕を組むと、名前の前に座って様子を見る。
名前は、何やらままごと道具をいじり、再び鼻歌を歌いながら楽しそうにしている。

まぁ…名前が楽しいならいいけど。

現在座っているだけで自分の“おとうさん”と言う役回りは回って来ない。

『できたぁ』

元気いっぱい雲雀に振り向いた名前は、ニコニコしながらお皿を雲雀の前に出している。
雲雀はジッと差し出された皿を見詰めて見るものの、そこには特に何も無いい。

「……」

無言でいる雲雀に、名前は特に気にする事も無く、自分の役回りで話し掛けていく。

『あなたのだぁぁいすきな、はんばぐぅですよ』

「あなた?」

『うん。きょうやくんは、おとおさんなの、で、わたしがおかあさんで、そんとき、おとおさんよぶときはぁ、あなたていうんだよねぇ』

えへへとハニカんで笑う名前。
どこかのホームドラマでそんなシーンを見たのか、雲雀を“あなた”と言う名前に悪い気はしない。

「名前は、僕の奥さんて事かい?」

『おくさん?とぉ、おかあさんだよ?』

「結婚して、お父さんとお母さんになる場合は、お父さんにとって、お母さんは、奥さんだよ」

『んじゃぁ、おくさん!』

「フフ…可愛い奥さんだね」

『えへへー』

照れ笑いをしながらも、名前は再び雲雀に皿を差し出して『はんばぐ、たべて、たべて』と催促。
どうやら皿の上には、目には見えない名前お手製ハンバーグがあるようだ。

『あ、あかちゃんにもごはんあげんのね。あなたぁ、あかちゃんあたまからおろして』

雲雀の頭の上に避難していたヒバードへ手を伸ばす名前に、雲雀は自分の頭からヒバードを下ろし、手の平にヒバードを乗せる。

「ヒバードが…赤ちゃんなの?」

『そう。ヒバードはぁ、あかちゃんなの』

「そう」

雲雀の手からヒバードを受け取ると、名前の手の中でジタバタとするヒバード。

『さぁ〜あかちゃんも、ごはんですよぉ。あ、おとおさんもぉたべんのよ』

名前に食べてと念押しされるものの、プラスチックの皿の上にある見えないハンバーグをどう食べろというのかと微妙な表情の雲雀。

『とね、たべるふりすんの』

「ふり?」

『うん。はんばぐぅあることにしてぇ、もぐもぐってすんの』

なかなか動かない雲雀に、名前は自分の手を口元に持っていくと、モグモグとジェスチャーをして見せる。

「……」

名前の指示の元、雲雀は皿を片手に持ちモグモグと動作をして見せる。それに満足そうにする名前。

『あなた、おいしいぃ?』

期待の目で雲雀をジッと見詰める名前。

「……」

そんな雲雀のお陰で、赤ちゃん役から逃れたヒバードは、名前の頭の上で涼しげな顔で寛いでいる。

『ワクワク』

「美味しい…ね」

なんとも奇妙な遊びに、ぎこちないリアクションではあるものの、雲雀の言葉に満足したようで嬉しそうに名前は頷いている。

『おかありありますよぉ。もと、たべてたべて』

気を良くした名前は、ハンバーグ攻撃を雲雀に繰り出せば、喜ぶそんな名前が可愛いくて、ままごとに付き合い同じ動作を繰り返す。が、流石に7回目のハンバーグ攻撃でそろそろ満足しないのだろうかと、微かに呆れ気味で名前を見るが、まだまだ飽きる事が無い様で更に継続されそうな勢いを感じる。

「ねぇ…。もうハンバーグは御馳走様にしてもいい?」

『ふへ?おなかいっぱい?』

「ん…出来たら、次は、食後のデザートが欲しいかな」

口元を少し上げながらそっと名前に手を伸ばし頬に触れる雲雀に、触れられた名前には、雲雀の言葉の意味が分からずキョトンとした顔を向ける。

『でざぁとぉ…』

「うん」

『したらぁ、ケーキつくんね』

おままごとごっこを再開しようとした名前の背に、雲雀はフワリと腕を回し、名前の体を引き寄せる。そうすれば、互いの体が触れ合う距離に近づき、雲雀は名前の頭ににチュッとキスを落とす。

『ほえ?』

「僕のデザートは、可愛い奥さんの名前がいい」

クラリと来る程の色気を醸し出す雲雀に、名前は『ん〜』と考えポーズで首を傾げながら小さな手で雲雀の顔に触れる。

『おくさんはね、たべらんないんの。とね、でざぁとおはぁ…んと…』

雲雀のリクエストのデザートをどうしようかと悩む名前。
そんな姿に、雲雀はクスクスと笑いながら、名前の髪を撫でる。

「まだ、奥さんをたべるのは早い?じゃぁ今回は、諦めるけど…」

『おくさん、いつもたべらんないよ!』

「じゃあ、デザートの代わりに一緒にお風呂に入ろうか」

『ん?』

「そろそろ寝る時間だしね」

そう言うと名前を抱えたまま廊下に出ると、襖越しで廊下で入浴の準備を完了して待つ草壁の姿があった。

『あぁ〜てつさんだぁ。あんね、きょうやくんと、おふろ〜はいるよ』

「へい。ごゆっくり」

二人に正座をしたままの態勢で頭を下げる草壁に、雲雀はチラリと視線を送り再び歩き出しす。

「僕の奥さんを綺麗に洗ってあげないとね」

『じゃあ、わたしはぁ、せなかごしごししてあげんね』

「よろしくね」

イチャイチャする二人の後ろ姿を見送る草壁は、部屋に広げられたままのおままごとセットを見詰め、小さく息を着く。

「はぁ。おままごとで盛り上がるのもいいが…長かった…」

二人に入浴の準備が出来たと呼びに来たものの部屋の様子をみると、ままごと中で邪魔できない状態で、廊下で約40分近く我慢させられていた…本日もご苦労様の草壁。



『きょうやくん。んままごとまたしようね』

「いいよ。赤ちゃん無しで、新婚さんごっこならしてあげるよ」

『ほえ???しんこさん???

「だめかい?」

ただただ名前とイチャイチャしたいだけの雲雀。




あしたも、んままごとしよぉぉぉぉ。

ままごとが楽しくて仕方ない名前。
明日は、誰とままごとをするのかな?



2010/5/3


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あきゅろす。
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