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Xmas*メリークリスマス1

12月25日。クリスマスの朝。

まだはっきりしない意識。
寝ぼけ眼を、クシクシ擦りながら、いつも隣にある温もりに、身を寄せる。


肌寒い冬の朝でも、抱きしめてくれる大好きな人の温もりで、寒さなんて感じない。
自分の世界の中で、一等大好きな人。

名前を優しく抱きしめて眠る雲雀。
雲雀もまた、名前の温もりに、穏やかな眠りを感じている。


目が覚めてしまった名前だが、雲雀ともっとくっ付いていたくて、動くのをジッと我慢…しているつもりでも、目覚めていればやはり、もぞもぞと動いてしまう体。

雲雀は、そんな名前をぎゅっと抱き締める。

『う!?』

寝ていると思っていた雲雀は、既に目覚めていて、名前の髪に顔を埋めていた。

『きょうやくん。おきてんの?』

「ん…起きてるよ」

名前のおでこに、チュッと、おはようのキス。


名前は、雲雀の腕からぴょこんと飛び起きる。
雲雀も、名前と共に、少し眠たげな欠伸をしながら起き上がる。

『おはよーっっ。きょうやくん。』

いつになく、朝からご機嫌な名前。

『めりいぃくりすますぅ!!』

起きたてで、四方に跳ねた髪をしながら、極上の笑顔を雲雀に向けながら、ぎゅっと抱き、雲雀の顔を見上げる。

「メリークリスマス」

そっと返えす雲雀。
名前に微笑み、頭を撫でる。
そんな名前が可愛くて、まだ少し朝も早く、名前抱きしめ二度寝を決め込もうとした雲雀でだったが、元気に飛び跳ねる名前に、その計画は儚くも阻止されて、うまく行かなかった。

「相変わらず、朝から元気だね」

『うん。げんきぃ。あーっっ!!いってくんね』

寝間着姿のまま、雲雀を部屋に残し、パタパタと走り部屋を飛び出して行ってしまった。

「……」

呼び止める暇もない。

「元気すぎるんだけど…」


少し冷たい廊下。
でも、はしゃいで走る名前は感じない。

『あ〜っ。てつさぁぁん』

朝の準備をしている草壁を見つけると、興奮気味に走り寄る。

「名前さん?朝から元気ですね。おはようございます。おや?恭さんは?」

珍しく朝から自分の所に来た名前に、どうしたのだろうかと様子を伺う。
しかし、名前はとても元気で、何かあった様には見えない。

『てつさん。めりいぃくりすます』

草壁の足に抱きつく名前。
急に抱きつかれて、目を少し見開くが、名前の可愛い微笑みに、優しく微笑み返し頭を撫でる。
草壁は、長身の背を名前の目線まで屈ませる。

「メリークリスマス」

笑い合う。



浮かれて、草壁の元から部屋に戻れば、まだ布団の上に座っている雲雀。
パタパタと走って戻ると、いつもの様に雲雀にじゃれつく。

「ねぇ。どこ行ってたの?」

名前を膝に乗せながら問い掛ける。

『あんね〜っ。てつさんに、めりいぃくりすますて、いってきた』

嬉しそうに言う名前。

「そう。でも寝間着のまま行くのはどうなの?」

『う゛…っ』

窘められ、言葉に詰まりながら、おずおずと雲雀の顔を見上げる。
「足が冷えてるじゃない」

怒っている訳ではない事に、安心しながらも『ごめんなさい』と呟く。雲雀は目を細め、膝に乗る名前の足を手のひらで優しく温めてやる。

『あれ?』

名前が不思議そうに、頭をコテリと傾げる。
枕元に、赤い長靴の形をした大きな物が置かれている。
いつからあったのだろう?
雲雀の膝から降りて、興味深い様子で赤い長靴に近づき手に取る。

『ほえ〜っ。ながぐつんなか、おかしがいっぱいだよぉ!!』

なんで?なんで?と首を傾げている。

『きょうやくんみてこれぇ!』

両手に抱え、長靴を雲雀に向ける。

『ん〜だれんだろ?』

両腕を組んで、考えポーズの名前。

「……」

『う〜んっ』

「名前に…サンタからじゃないの?」

そう伝えてみれば、驚いた顔をして、すぐに大きく首を振る。

『わたし、おかしたのんでないよっ!それに、もうぷれぜんともらったもん』

そう言い切る名前に、雲雀は首を傾げる。
朝起きて…何かプレゼントの様なものがあっただろうか…?
名前は、『わかったあぁぁ』急に声を上げる。

「?」

『んとね、これはぁ、サンタさんからヒバードにだよぉ!ヒバードもよいこだから、ぷれぜんとだよ。ヒバード、サンタさんにおてがみかいてないから、ほしいもんわかんなくて、これくれたんだぁ』

そうに違いないと、満足そうな顔で、側にいたヒバードに『よかったねぇぇ』と、プレゼントを見せれば、ヒバードは首を傾げながら、長靴を嘴で突っつく。

……。
名前。
それは違うよ…。

心の中で突っ込む雲雀。

「ヒバードは、お菓子はいらないと思うけど」

『えーっ!じゃあサンタさんまちがえちゃったのかなぁ』

噛み合わない。

「ねぇ。名前は…もう、サンタからプレゼントもらったって…何をもらったの?」

雲雀の質問に、配達間違えに悩んでいた名前は、雲雀に顔を向ける。

『んとね〜すぅっごい、いいもん』

「?」

『サンタさん、おてがみよんでくれたんだよぉぉ〜っ!んとね、んとね、でもまだたんないから、これからも〜っとなんだよぉ』

興奮しながら言う名前に、眉を潜める。
名前が貰ったとものは、本人にとってとても嬉しいものなのだろう。
とりあえず、サンタの件で落ち込む事はなさそうだ。
先日、悩んでいたハルも…安心するに違いない。
名前が欲しかった物は分からないけれど…。

そう言えば…。
今日は、不本意なクリスマスパーティーだったと思い出す。

「名前。沢田綱吉が今日、クリスマスパーティーをするって、僕らも行くから」

そう言ってやれば、名前は予想通りのはしゃぎ様で、ピョンピョンと飛び跳ねながら、はしゃぐ名前。

『ツナさんとこいくのおぉ〜っ!』

飛び跳ね、今度はクルクル回って、キャーキャー喜んでいる。
名前は、回り過ぎたのか、足元がよろつきながら、雲雀の足にコロリと転がりながらくっ付くとまた、あはははとまた笑う。

『おめめくるくる〜っ』

名前が嬉しそうにしているのは良いのだが…喜んでいる内容が、今一つ納得出来ない。
そんな雲雀を余所に、ご機嫌な名前。


『サンタさんてぇすごおぉい』

「ん?」

『えへへ〜。きょうやくん、ツナさんとこ、たのしみだねっ』

「……」

『ねっ』

そんなに可愛い顔する事ないんじゃないの?

「ふん」

『ほえ?』

「そうだね」と、素っ気なく言うと、名前のホッペをムニュ〜っと摘んで意地悪く引っ張る雲雀。

『い、いたぁ〜っ』

じたばたする名前に、クククッと含み笑いをする。

「僕以外の事で喜び過ぎるから。お仕置きだよ」

『ふえぇぇ?』



夕刻。
名前に、早く早くとせがまれ、雲雀は渋々重い腰を上げ、パーティーの時間にはまだ早いものの、屋敷を訪れた。

「名前ちゃん。よく来たね。」

快く向かえ入れてくれるツナ。

「あっ。雲雀さんもようこそ」

雲雀には、オマケの様な挨拶。

「ふん」

不機嫌そうにそっぽを向く雲雀を、気にする風もない。
雲雀と手を繋いでいた名前は、雲雀の手を離すと、トコトコとツナに近づく。

『つなさん!めりいぃくりすます』

元気に挨拶すれば、ツナも嬉しそうに笑って、雲雀の前だと言うのに、命知らずに名前をぎゅっと抱きしめる。
小さく柔らかい名前を堪能して、優しく笑い掛ける。

「名前ちゃん。メリークリスマス」

『えへへ』

笑う名前から離れがたい。しかし、我慢の限界点を超えた雲雀が、無言で二人を引き剥がす。

「沢田綱吉。いい加減にしないと咬み殺すよ」

突き刺さる視線に、名残惜しそうに名前から離れる。

「雲雀さんケチですね。クリスマス位…サービスしてくれません?」

「何言ってるの?十分サービスでしょ」

やれやれと、肩を竦め呆れるツナ。

『ツナさん!ツナさん!ハルちゃんはぁ?』

「ん?ハルなら、京子ちゃんと台所で、パーティーの料理の準備中だよ。行ってみたら?」

『うん。きょうやくん、いってきていい?』

「いいよ。僕は、始まるまで…資料室にいる」

『うん』

頷いて、パタパタと走って行く名前。

雲雀も名前がいなければこの場に意味はないと、スタスタと勝手に行ってしまった。

「雲雀さん…相変わらずのマイペースだよなぁ」

ブツブツ言うツナの背後から、不意に現れた人物の声に、条件反射で驚くツナ。

「ツナ。書類は見終わったのか?」

「わっ!リ、リボーン!?あ、いやぁ〜っ、後ちょい」

「ならサッサと見やがれ!この駄目ツナ!終わんねーと、お前のパーティー参加はねぇぞ」

慌てるツナを足蹴にし、追い立てる。

「わっ!リボーン!!クリスマスなんだから、たまには優しくしろよなぁぁぁ〜っ」



足取りも軽く、台所に向かう名前。

『く、く、くりぃすますぅ〜っ』

「よぉ!名前。なんだその歌?」

『ほぇ?』

背後からの声に振り向くと、「ようっ」手を軽く上げ、爽やかな笑顔で山本が立っていた。

『たけしくんだぁぁ〜』

「おっす」

走り寄って山本の足に、ぎゅっと抱きつけば、「ははは…。相変わらず名前は、元気だなぁ」と笑いながら、ヒョイと名前を抱き上げる。

『たけしくん。めりいぃくりすます』

「おう!メリークリスマス」

えへへ〜っ
お互いほのぼのと笑い合う。


「そういやぁ、どこか行く所だったのか?」

『あ、うん。ハルちゃんとこぉ』

「そっか、呼び止めて悪りィ」

『わるないよぉ!たけしくんに、めりいぃくりすます、いえたもん』

「そうか?名前に、そう言われると嬉しいぜっ。サンキューなっ」

山本は、名前の頬に自分の頬を添え、頬擦りをする。

「ん〜名前のホッペはやっぱ、気持ちいいなっ」

『くすぐったいよぉ〜』

「あははは。じゃ、名前また後でな」

山本に別れを告げ、手を振ると、ハルのいる台所へパタパタと走って行く。
名前姿を、眺めながら、自分の頬に触り、名前の柔らかい頬を思って口元を緩める山本。

「やっぱ、名前は、可愛いのなっ。いいクリスマスプレゼントもらっちまったな」




ふんふんふん♪
軽い足取りで廊下を歩く名前。
リビングを通り過ぎる途中、開いたドアからソファーで本を読んでいる人物を発見し、パタパタと走り寄る。

『はやとおぉぉ〜』

勢いのあまり、ソファーで寛ぐ獄寺に、ドカッと激しい音と共に体当たり状態で、飛び付いた。
その衝撃で、獄寺の読んでいた本が床に落ちる。

「なっ!」

突然の事に、驚くやら、痛いやら。

「なっ、何しやがる。このバカッ」

自分に張り付く名前の頭をぐいっと片手で剥がすと、『あはははー』悪気の無い顔で笑う名前。
その顔に、文句を言う気力も萎え、頭を押し戻したままの手を、ポンポンと数度撫でるように置く。

「お前なぁ、一応女の子なんだから、もう少しお淑やかとかねぇのか?」

『お?おし?とぉや?』

「既に、言葉自体が存在してねぇ」

はぁ。と溜め息。
そんな事よりもと、獄寺の服を引っ張る。

『はやとおぉぉ。めりいぃくりすます』

「ん?」

『めりいぃくりすますぅ』

「ああ、そう言やぁ。今日は、クリスマスだな」

名前に抱きつかれたまま、そうだったと思い起こす。

『ね〜ね〜。めりいぃくりすますぅ』

挨拶をスルーされ、口を尖らせ不満顔の名前。

「ああ、ワリィ。メリークリスマス名前」

拗ねる名前の頬を、面白そうにむぎゅっと摘んで、口を更に尖らせてみる。

『うがぁ〜!はやふぉほ!いひぃわるぅ』

摘まれたまま、何を言っているのか分からない抗議の声を上げ、ジタバタと暴れる。

「おもしれぇなっ」

『う゛ー』

恨めしげに涙目で、名前は獄寺を睨む。

チュッ

『ほえ?』

名前のおでこに、キスを落とす獄寺。
その顔は、不機嫌そうに見えるなくもないが、獄寺の顔は赤く、自分からした行為に照れているようだった。

「いいか、今のはその…特別だからな!ク、クリスマスだからだぞ。その…」

部屋に誰も居ないのに、獄寺は焦りつつキョロキョロ見回し、名前に顔を近づける。

「誰にも言うなよ」

『ん?何を』

キョトンとする。

「だ、だから、チッ。今の、キ、キスの事だっ!!たく、直ぐ分かれっ」

照れながら軽く名前にデコピンを食らわせる。

『あたっ』

おでこに手を当てて、『わかったぁ』頷く。

「分かりゃいいんだ」

獄寺は、優しく微笑み名前を抱きしめて、もう一度囁く。

「メリークリスマス。名前」

笑い合う二人。

「……いいか、今のも内緒だぞ」

『うん。ないしょね』

獄寺と別れ、再びハルのいる台所へ進む名前。

『きょうやくんに、てつさん、ツナさん、たけしくんに、はやとぉ〜』

名前は、歌うようにみんなの名前を呟きながら、小さな指を折り鼻歌混じりで歩いて行く。


-つづく-
2009/12/26
* ATOGAKI *******
はい。すみません。
終わりませんでした。
続きます。

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