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Xmas*クリスマスまで後少し2

いくら大魔王と言えども、雲雀は名前の事になれば、きっと相談に乗ってくれるはずだと…希望を抱き、ハルは雲雀のアジトへ訪れた。

草壁は、何やら妙に意気込んでいるハルを、どうしたのかと視線を送りながらも、いつも通りの対応で向かへ入れる。

「草壁さん、こんにちはっ!!あ、あの…」

意気込み過ぎているからか、言葉に詰まってしまうハルに、気を使い草壁の方から柔らかく対応する。

「こんにちは。名前さんでしたら、部屋にいますよ。さぁ、どうぞ」

雲雀の許可が無くてもフリーパスで名前に会う事が出来るハルは、そのまま中へと通される。

「あ、あのっ。名前ちゃんではなくてですね、今日は、雲雀さんに用事がありまして…今…いらっしゃいますかっ?」

意外な言葉に、少し驚いた顔でハルを見つめ返す草壁。

「雲雀…ですか?」

思わず聞き返すと、ハルは頷き返す。

「外出されて、まだ戻っていないんですよ」

草壁の回答に、残念そうに肩を落とすと、息を付く。
先程までの意気込みが、消沈してしまう。

「ですが、じきに戻ると思いますから、名前さんの所でお待ちになったらどうでしょう?」

そう言われれば、折角来たのだし、ここで断念するのもどうかと思い、草壁からの提案に承諾した。



『あ〜っ!!ハルちゃぁぁん』

草壁に名前の元へ案内され、部屋を訪れると、ハルの姿を見て嬉しそうな顔をする名前がいる。
ハルの元へ、パタパタと走り寄り、いつもの可愛い笑顔でハルを向かへ入れてくれる名前に、これから待っている、本人的にはデンジャラスな出来事への緊張感を、溶かしてくれるような気を起こさせてくれ、思わず名前を、ギュッと抱き締める。

「はひ〜っ!!名前ちゃんの笑顔は、本当にベリーキュートです。この笑顔のためならば、魔王とだって対峙出来ますぅー」

『だいまお?う?なに?ハルちゃん?』

ハルにギュッとされて、嬉しいやら、苦しいやらで、ジタバタとする名前に、パワーを貰うかのように更に抱き締める。



しばらく部屋には長閑な時が流れていた。
そこへゆっくりと襖を開け、草壁が訪れ、ハルに声を掛ける。
その合図で、思わずゴクリと唾を飲み込むハルは、緊張した面持ちで立ち上がる。

「名前ちゃん。ちょっと…行って来ますね。直ぐ戻りますから、ここで待っててください」

妙に真剣なハルを見詰め、名前はコクりと頷きながら、手を振り見送った。

『いってらっしゃーい』

小さな名前の手に見送られ、草壁と共に長い廊下を目的の人物の元へ進んで行く。

「ハルさん。雲雀への用件ですが、お聞きしてもいいですか?」

「あ、はい。実は、雲雀さんに…教えてもらいたい事がありまして…」

「教えてもらいたい事ですか」

「そうなんです!!私にはどうしても分からなくて…ツナさんが、雲雀さんなら分かるかもと…。藁にも縋る思いなんです!!」

会話の途中、二人は雲雀の姿を確認する。
雲雀も廊下の先で、その二人の姿を静かに見据えていた。
視線が、すっとハル一点に向けられる。
雲雀の視線に、思わずドキリとするハル。

雲雀さんの顔って…麗し過ぎて、なんかドキドキしちゃいます!!
て〜っ!!
見取れてる場合じゃありません。
幸い、先程の様に魔王的ではないみたいです。
こ、これなら、上手くお聞き出来るかもっ!!

「僕に何か用?」

自分の世界に浸っていたハルを、雲雀は問い掛けで現実に引き戻す。

「はいっ!実は、ひ、ひ、雲雀さんに伺いたい事があるんですっ」

なんとか目的を果たす事が出来そうだと、思わず笑顔になりながら、ハルは一枚の絵を取り出し、雲雀に話を始めようとする。
それを遠慮がちに、草壁が遮った。

「ここでは何ですから、どこか部屋に移動しませんか?」

草壁の提案に、無言で近くの部屋へ歩いて行く雲雀。その後を、ハルは慌てて付いて行く。

部屋に入った二人に、草壁がそっと茶を出す。
ハルは、一呼吸置くようにお茶で喉を潤すと、話を再開した。

初めは無表情だった雲雀も、ハルの話から名前の名前が出れば、穏やかな顔付きとなると共に、話す空気も穏やかなものへと変わって行く。
傍らに控える草壁は、その穏やかさに、名前の存在が雲雀に取って大きい事を再確認していた。
そして草壁も、ハルの話にそっと耳を傾ける。



大人三人が自分の為に集まっているとは知らず、名前は部屋でコロリと転がりながら、ヒバードと戯れている。

『ヒバードぉ。もっすぐ、くりすますなんだよぉ〜っ。サンタさんにね、おてがみかいたのね、んでね、よいこには、ぷれぜんともらえんだよ〜っ。わたし…ちゃんとよいこのままかなぁ〜』

ヒバードに、話し掛けながら、考え込む。

『…んとね、ハルちゃんが、よいこにんてーてので、ごーかくて、いってたの!でもぉ〜』

何処か心配そうな顔をする名前に、小首を傾げるようにヒバードは見詰めている。

「ヨイコ ヨイコ 名前をカタカナでヨイコ」

ヒバードが小さい体を名前に、すり寄らせ連呼すれば、名前も嬉しそうに笑い返す。

『ヒバードぉ。ありがとぉ〜。ヒバードのが、うんとよいこだよぉ〜。』

名前は、自分の小さな手にヒバードを乗せると、ヒバードの頭を優しく撫でる。ヒバードも嬉しいのか、目を閉じてされるがまま。

ヒバードにも…サンタさんからぷれぜんとあるかなぁ…あるといいな。
だって、とってもいいこだもん。


ヒバードと共に、ハルの帰りを待っているものの、なかなかハルは戻って来ない。
徐々に我慢が出来なくなり、襖を開けると、長い廊下にピョコンと顔を出し覗き見るが、ハルの姿も、草壁の姿も見つけられない。
こっそり見に行こうか…でも、ハルとの約束もり、待っていなくちゃという思いもある。
探しに行きたい思いが、ウズウズと湧き上がる。
そんな中、ヒバードは、名前の事を気にする風も無く、チョコチョコと廊下に出る。それを捕まえようと手を伸ばすしつつ…名前は、結局廊下へと飛び出してしまった。
そんな名前を、少し離れた所にいるヒバードが、早く行こうと誘うような瞳で名前を見据えている。

『んと…ヒバードつかまえるだけだもん』

自分のなかで、部屋から出る口実を見つけ廊下を進む。

パタパタと飛んでいたヒバードが、ある部屋の襖の前で止まる。
その後から、名前がパタパタと軽い足取りで追いつき、ヒバードを捕まえた。

『ん?』

襖の中から何やら話し声が聞こえて来る。
よく耳を澄ましてみれば、聞き慣れた声。
襖を少しだけ開けてこっそりと覗けば、そこには、ハルと雲雀、少し離れた所に草壁がいる。
話の内容は、聞き取る事は出来ないが、様子だけ見ると、ハルが雲雀に話し掛け、それを聞いている雲雀。
その雲雀の顔は、なんだか楽しそうに見える。
ハルも、雲雀と話しながら笑っている。

『……』

除いていた部屋の襖の隙間をそっと閉じる。

ハルちゃんと…
きょうやくんは…
なかよし?

んとー
わたしのだいすきな、きょうやくん
わたしのだいすきな、ハルちゃん
ふたりも、なかよしでだいすきなら…
みんなでいっしょいられて、もっとたのしい!

名前の大好き方程式。

えへへ。
嬉しそうにそっと元の部屋にヒバードと戻り、ちょこんと座り、ハルが戻るのを鼻歌混じり待つ名前。



また、大人三組の方と言えば、名前の浮かれた気分とは少し違うのが現実。

ハルから渡された、ある意味芸術的な絵を眺める雲雀。
「あの…どうです?」

ハルは、無言の空気に耐えられず、声を掛ければ、絵から視線をハルへと移す雲雀。

「…分かると思う?」

「はひっ?」

「無理」

「は、はひっっ!?」

戦くハルに、ため息を付く。

「仕方ないでしょ。サンタの件は、僕がなんとかする…」

「で、でも、これは、私が原因ですからっ。雲雀さんにご迷惑はお掛けしません」

雲雀にビビりながらも、思う所は伝えねばと踏ん張るハルに、雲雀は珍しく微笑む。

「名前の為にしてくれたんでしょ?迷惑じゃない」

微笑みは、ハルに向けられたものなのか、この場にいない名前に向けられたものなのかは分からないが、ハルはそんな雲雀にドキリとする。

は、はひ〜っ
微笑みが素敵です〜っ
なんか…ドキドキします!!
なんですかこれ〜っ

「どうかした?」

「なっ、なんでもありません!あ、あのっ、ご意見ありがとうございます。後は…なんとか頑張りますので大丈夫ですっ」

勢いよく立ち上がり、ぺこりと頭を下げたハルは、足早に名前の元へと戻って行った。
残された雲雀と、草壁は、そんなハルの勢いに呆気に取られてしまう。

「騒がしい…」

眉を顰め、ぼそりとハルの消えた先を見詰め呟いた。



ツナさんの提案してくれた、デンジャラスな藁に縋ってみたものの…

「駄目じゃないですかぁ〜っ」

廊下を歩くハルは、一人愚痴を零す。

もう…無理なんでしょうか…。


思い足取りで名前の元に戻れば、名前の嬉しそうな微笑みが迎えてくれる。
何故か…居なくなる前よりも、機嫌が良いように見える。

嬉しそうに、自分に甘えてくる名前に、心が重くなる。
ハルの思いを余所に、他に誰もこの部屋にはいないのに、こしょこしょと内緒話をする様に、ハルの耳元で話し掛ける。

『ハルちゃん。あのねっ』

「?」

『きょうやくんのこと…すき?』

「はひ?」

思いも寄らない質問に、驚きの声しか出せず、名前の顔を見返す。

『う?きょうやくん…すき?』

名前が、弱々しく聞き返す。
何故急に、名前がそんな事を聞くのか分からず困惑するしかなく…。

『きらい?』

更に弱々しい名前の声。

「き、き、嫌いじゃありませんよ!なんと言うかぁ…ちょっと怖いというかぁ…」

尻つぼみになる言葉に、なるものの嫌いじやないと言われ喜ぶ名前。

『すきなんだっ!』

「はひっ?えっとぉ…嫌いと、好きしかない場合…嫌いじゃなければ、それは…好きになるわけですがぁ…でもですね、それは極端過ぎる意見な訳で…って、名前ちゃん!ちゃんと聞いてくれてますか!?」

すきなんだぁ〜と呟いている名前に、ハルの総ての言葉は届かない。


なんだか訳の分からない名前と、クリスマスプレゼントの問題で、ハルの頭の中は更に混乱していた。





ハルが頭を抱えたまま帰った夜の事。
雲雀の膝にじゃれている名前は、チラチラと雲雀の顔を見上げると、嬉しそうにクスクス笑う。
名前の髪を撫でながら、本を読んでいた雲雀は、その視線に気付くと本を閉じて、名前を見詰める。

「何?」

えへへ〜っ
笑う名前。

「気持ち悪い」

『むぅ。きもちわるないよぉ』

膝にじゃれ付きながも抗議の声を上げる名前を、膝の上にひょいと乗せ、顔を近づける。

「じゃあ、何を企んでるの?」

囁く雲雀。

『?たくらむ??ほぇ?』

意味が分からずキョトンとする。
雲雀の掌が、優しく名前の頭を撫でれば、嬉しそうに笑う。

「何か良い事があったの?」

『きょうやくんはぁーハルちゃんすき?』

急な質問に名前を撫でる手が止まる。

「どう言う事?」

『きらい?』

「……」

『すき?』

答えをワクワクした顔で待つ名前に、雲雀は、質問に対してしばらく考え込む。

「名前が好きな子だからね…嫌いじゃないよ」

その答えに嬉しそうにはしゃぐと、雲雀に抱きつく。

『あのね、あのね、ハルちゃんも、きょうやくんがすきっていってたよぉ』

柔らかそうな頬をピンク色に染めながら、ハルから言葉を、雲雀の耳元にこしょこしょと内緒話の様に囁く。

「……」

『うれしい?』

「……」

小首を傾げて、ニコリと笑う名前。
その微笑みは、可愛いものの、話の内容自体は、雲雀にとって、不本意な物で微妙な表情になる。

「ねぇ」

はしゃぐ名前の頬を、両手で包むように触れ、顔をお互いが触れそうな程近づけると、ゾクリとくる様な声で囁く。

「それ…何かの罰ゲーム?」

『う゛?なんで?』



2009/12/23
*ATOGAKI******
すみませーん(>_<)
なんでしょうこれ?
結局…解決出来ない謎の絵。中途半端な気がしますよねー!!!!
そして…なんか、雲雀さんと、ハル?
あははは…。
わーっ!石投げないでくださーい!!!!
そして、クリスマス…後編へつづくのでした。

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