dinnertime
ぐーっ
『うわぁぁ!?お、おなかなったぁ』
目の前に、美味しそうな夕飯を並べられて、思わず名前のお腹の虫が鳴ってしまった。
それが恥ずかしいようで、赤くなる顔を誤魔化すように『えへへh』と笑う。
気が付けば…今朝、母親とパンを食べたきりで、何も食べていなかった。
これ…ぜんぶ…たべていいのかなぁ?
お腹が減っているものの…気後れして、なかなか箸を付けられないでる。
たべたいなぁ。
チラチラと、雲雀と草壁の顔を覗き見ながら様子を窺う。
食事を運んで来た草壁は、少し離れた所に控えており、そっと名前に声を掛ける。
「食べていいんですよ」
『う?』
名前は、まだ上手く箸が使えない為、もらったフォークを握り締めつつ、草壁の顔を見詰めた。
「冷めない内に食べてください」
草壁の言葉が、食べ始めていい合図と受け取ると、嬉しそうな顔で『いただきまーす』と、大きな声で挨拶をし、モグモグと食べ始めた。
その横で、雲雀は静かに黙々と食べる。
「挨拶はいいけど、声が大きい」
ぼそりと呟く。
雲雀の呟きが、名前は聞き取れず、口いっぱいにおかずを詰め込んだ状態で聞き返す。
『ふわぁ?な…ふが?』
言葉にならない聞き返しに、雲雀は更に怪訝な顔。
「それ、口の中に入れ過ぎ。それと、もっとゆっくり食れば?誰も名前の物は取らないよ。あと…口に物を入れたまま喋らないでくれる?」
モゴモゴと口いっぱいの食べ物を噛み締めると、ゴクンと飲み込み『ハーイィィ』元気に返事をし、またモゴモゴと食べ始めた。
「…ワォ。またしても返事だけいいね。詰めすぎって言ってるのに…」
そのやり取りを、微笑ましく見つめる草壁に、雲雀はチラリと視線を投げかける。
「哲。部屋を用意して。」
「はい?」
「名前の部屋」
「へい」
「今日から、名前はココで暮すから」
その言葉に、哲よりも先に名前が反応した。
『えええええー???』
目を大きく見開いてパチパチと瞬きをし、雲雀を見つめる。
「なに?言ったでしょ?名前に拒否権はないよ。それに、ココにいなきゃ迎えが来た時どうするつもりなの?」
そう言われれば返す言葉が無い。
そうだった。
つい楽しい驚く事ばかりで、忘れてしまっっていた。
雲雀が手を差し伸べてくれなかったら、今でもあの場所で…独りぼっちだったかもしれない自分。
「だから、ココにいればいい。名前?いいね」
無表情な中にも名前は、雲雀の優しさを感じる事ができる。
この人の手を選んで、自分は良かったのだと…。
『ふわぃ!!』
エビフライが刺さったのフォークを握った右手を掲げ、返事をする。
「ねぇ。それ…行儀悪いから。名前には、ココにいる間にいろいろと教えてあげないとね」
『えええー!?』
驚く名前に、雲雀は意地悪そうな微笑で、クククッと笑う。
「行儀が悪すぎたら…咬み殺すよ」
『うええええぇ???(かまれちゃうの???)』
2009.5.9
2009.11.30修正
* ATOGAKI *******
雲雀さんとご飯。やっぱり雲雀さんは和食で、名前ちゃんはお子様ランチ的なものを食べてるのではないかと思うのですがー。
いつか二人で美味しいハンバーグを、仲良く食べて欲しいっす!
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