stroll 2
綺麗に整備された居心地の良い芝生の上に居る二人。
『あのねっ。いつもここで、コロン〜ってすんだよ』
名前そう言うと、キャーキャーとはしゃぎ転がり出す。
転がる度に、名前の体や頭は芝にまみれてしまっているものの、全く気にする事無く転がりまくり満足すると、あははと笑い声を上げながら体を起すと、雲雀に笑い掛ける。
そして、またコロリと転がりしゃぐ。
雲雀はそんな転がりまくる名前の傍に近づくと、名前を捕まえ自分も芝の上にそのまま座る。
「いつも…そうやって転がってるの?」
雲雀は苦笑しながら、抱き寄せた名前を自分の横に座らせ、頭や体に付くいた芝を払ってやると、興奮気味の名前はそれさえも嬉しいようで、『あははは』と笑っている。
『とね、きょうはぁいっぱいころがったよ!』
「そう。目が回りそうだね」
『うん!いまねーくらくらってなってるよぉ!おもしろーい』
頭をフラフラさせながら笑う名前の頬を雲雀の手が触れると、気持ちが良いらしく目を細め猫のように雲雀の手にすり寄る。
『とね、いつもはぁ〜いっこくらいだけころがるよ』
「…一個じゃなくて…一回だよ」
『ん?と〜いっかい?』
名前は、小さな手で人差し指だけ立てながら、小首を傾げる。
「うん。一個とは言わない」
『いっかい!』
ふんふんと納得して頷く名前の頭に、ヒバードがポフリと乗る。
『あ〜ヒバードぉ〜あのね、ころんはいっかいてかぞえんだよ』
自慢気にヒバードに教える名前を見て、クスクスと笑う雲雀。
『ほえ?』
雲雀が笑う姿が嬉しくて、名前はぎゅっと雲雀に抱きつき、名前も笑う。
『きょうやくんがわらうとうれしィ』
抱きついたままの名前の頭を優しく撫でる。
「僕も、名前が笑っていると嬉しいよ」
雲雀の言葉に、瞳をキラキラさせる。
『ほんとお〜?』
雲雀の腕のなかでハシャぐ名前が可愛くて、柔らかい髪にチュッと、軽いリップ音をさせながらキスを落とす。
「名前は、僕の特別だからね」
『とくべつ?』
「ん?」
「雲雀さんは、たぶんですが人とのお付き合いは苦手…のようですけど、名前ちゃんは特別なんです」
「やっぱり!名前ちゃんは、雲雀さんのスペシャルガールなのですね!!」
以前ハルが名前に言った言葉を思い出した。
『とくべつ…ふぁぁ〜!とくべつ☆』
そう繰り返す。
『きょうやくん。とくべつは、すぺしやるぅ?』
名前が何を言いたいのか分からないが、「そうだよ」と答えると、目を細めて嬉しそうな顔を雲雀に向ける。
『あのね!きょうやくんも!わたしのとくべつだよ!でね、すぺしやるなの!!すぺしやるがーるなの』
自慢気にニンマリ笑って言ったものの、雲雀は名前の言葉に眉間にシワを寄せる。
「名前のスペシャルなのは嬉しいけど、僕は女の子じゃないから…名前のスペシャルガールにはなれないんだけど」
『あれ?たがうの??』
…ハルちゃんが、すぺしやるがーるってわたしのこといったのになぁ…
あれれ?
悩む名前が可愛く、優しく抱きしめると、幼い子供の体温がほんわりと雲雀の気持を和ませてくれる。
雲雀は、静かに名前に話し掛ける。
「名前…」
『お?』
名前を呼ばれ、雲雀の腕の中でもぞもぞ動きながら返事を返す。
笑っていた雲雀の顔が、静かに名前を見つめている。
ゆっくりと、名前に…話す。
「明日から…1週間。沢田綱吉の所にいてくれる?」
『ん?』
意味がよく分からなくて、小首を傾げてなんで?と雲雀の顔を見上げる名前に、言葉を続ける。
「用事があって、1週間出掛けるから…
沢田綱吉の所で、待てて欲しいんだよ」
『ツナさんのとこ?』
「そう」
名前は静かに俯く。今まではしゃいでいた気持が嘘のように急に萎んでしまう。
雲雀の言葉を心の中で噛み締める。
名前の中で、ドキドキと不安な気持ちが込み上げて来るのが分かる。
そんな名前を、急かすことも無くゆっくりと見つめながら静かに待つ雲雀。
そして、名前はゆっくり顔を上げる。
『きょうやくん…ちゃんとむかえきてくれる?ちゃんとくる?まってたらぁ、いいこにしてたらくる?』
不安げに繰り返す名前の頭をそっと撫で、優しく微笑む。
「もちろん。いい子にしてなくてもちゃんと迎えに行くよ。だって、名前は僕のスペシャルでしょ?」
『ほえ…』
泣き出しそうだった名前は、少し意地悪く笑う雲雀にきょとんとする。
「それと、名前にお願いがあるんだけど。
僕がいない間、僕の代わりにヒバードの面倒をみてくれるかい?」
『ヒバードぉの?』
「そうだよ」
二人の頭上を飛んでいたヒバードが、ポフりと雲雀の肩にのって、並中校歌を歌い出す。
〜ミードリタナビクーナミモリノー♪〜
その歌声に、二人はクスクスと笑い出す。
肩に乗るヒバードを、そっと名前の小さな手に乗せる。
「僕のいない間。頼むよ」
『うん。ヒバードのおせわする!だから…だから…うんとはやくむかえきて…ね?』
雲雀の腕をぎゅっと掴むと、一生懸命明るい顔で笑ってみせる。
「一週間なんてあっと言う間だから」
一週間。
短い様で…長い様で…。
そして、ちょっと間抜けた質問をする名前。
『きょうやくん。そいで、いつしゆうかんてぇ、どんくらい?どんくらいでいしゆうかん?』
雲雀に一週間と言われたものの、実は、その期間が一体どの位か分からないでいた。
「名前が、夜…7回寝たら帰ってくるよ」
『7かい!?』
ほええええ〜驚いた声を上げてる。
いっぱいねないときょうやくんとあえないんだ…。
「ヒバリ デカケル デカケル」
『うん。おでかけなのぉ。ひばーどわぁ、わたしとまってんの。いい?』
名前の手の平の中で、ハネをパタパタさせるヒバードに言い聞かせるように話す。
それに答えるように、ヒバードはきょときょとと首を動かす。
『名前をカタカナでトイッショ マッテル マッテル』
きっとすぐだもん。
さびしくないもん。
ヒバードとまってるもん。
2009.10.20
* ATOGAKI *******
さてさて、雲雀さんたら任務に行かねばなのですよー
ええ、1週間イタリアへ〜(^◇^)
名前ちゃん大丈夫かなぁ?
いや…それより雲雀さんの方が大丈夫か??(なんてね〜)
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