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stroll 1
「ねぇ。散歩に行こうか?」

朝食が終わり、名前はヒバードと遊んでいると、雲雀から珍しい散歩の誘いの声が掛かった。
勿論、名前がその誘いを断る訳もなく、嬉しそうに頷くとはしゃぎながら雲雀の側に引っ付きぴょんぴょん跳ね回る。

「ウサギじゃないんだから…跳ねすぎだよ」

雲雀の言葉にキョトンとした顔を向けながらも、すぐに嬉しそうに笑い

『うさぎさん!かわいいからすき。わたし、うさぎでいいィー』

雲雀の突っ込みも名前にとっては誉め言葉になってしまうようで、キャッキャッと更にはしゃいでいる。

『ヒバードぉ〜うさぎさんだよぉ〜ぴょん♪ぴょん♪』

頭に手でウサギの耳を作って跳ねる名前。

「で…名前ウサギは、僕と散歩に行くのかい?」

ウサギの真似に浮かれ、当初の話からズレた名前は、慌てて雲雀を見上げると『行くよ〜っ』と元気に返事を返し、歩き出す雲雀の後をウサギの真似をしながらついていく。

ヒバードはと言えば横着をしているのか、丸くなって名前の頭に乗っている。

外に出ると、雲雀は名前に手を差し伸べ、ゆっくり名前のペースで足を進める。
名前は、雲雀と手を繋いで歩くのが凄く嬉しいらしく、片方の手だけで繋ぐのでは満足出来きないようで、両手で伸ばされた雲雀の手を握って歩いている。

「この歩き方…歩きづらくないの?」

どう見ても片手を名前の小さな両手が握っている体制で、雲雀は歩くのに支障を来すことは無いが、名前の歩く姿を見る限り大分歩き辛そうに見える。
しかし、名前にとってはそれは些細な事の様で、ぶんぶんと頭を左右に振る。

『そんなんない!こっちのほうがね、嬉しいからいいのぉ』

そう言われて仕舞えば、「そう?」と返すしかなく、それで名前が楽しいならそれでもいいかと納得するしかない。

それに…なんだかその一生懸命な姿が雲雀には可愛く思えるのも確かで、クスリと笑いながら散歩を続ける。


「名前は、僕の居ない時はどこで遊ぶの?」

『んとね〜っ。ヒバードとおへやであそんだりぃ…おえかきしたり…こおえんにいくよっ』

「そう」
雲雀は質問したものの、実は屋敷の中でいる分には特に何があるわけでないと思い放置しているが、たまに一人で勝手に外に遊びに行く名前を心配し、こっそり風紀財団の一人を護衛に付け離れた所から名前を見守らせているのである。
そしていつもどこにいるのかは、後で報告を受けている。
たまに…報告されない事柄も実はあるのだが…
それは、名前に危険な事があるからでは無く、周りの安全を思い極秘になる事があると言う事である。
その内容は全て、草壁がコントロールし、そのお陰でたまに秘密事項が雲雀にバレてしまい、草壁が咬み殺される事があるとかないとか…。
(だいたいバラすのは、守られている名前の口から嬉しそうな顔で雲雀に話されてしまう。)

「公園て…並盛公園?」

知っていながら質問を続ける雲雀。

『とぉーなまえわかんない。んとね、おっきいの!』

公園の大きさを表現しようと一端、雲雀の手を離すと、両手で大きく円を描きつつ、瞳もそれに比例するように大きくクリクリと輝かせる。

「そう。じやぁ名前のいつも行くその大きい公園に行こうか。案内してくれる?」

『うん!!』

名前は、再び雲雀の手を掴むと、公園へと雲雀を導いた。

名前が雲雀を導いたのは並盛公園。

この公園は、並盛住人達の憩いの場所として親しまれている。
公園には、並木道や、児童公園、芝生が生い茂る憩いのエリア、噴水などもあり、思い思いの過ごし方を楽しむ事が出来、休日ともなれば多くの人が訪れる。

今は、平日の昼間と言う事もあり、園内にいる人は疎らで騒がしさは無く暖かい日差しをのんびりと楽しめそうだ。

その中を、手を繋いで歩く名前と雲雀。

『あのね、あっちにおすなばあんの。あとね、ぶらんことかぁ〜すべりだい』

自慢げに雲雀に公園の説明をする。

『あっ!!きょうやくん!すべりだいいっしょしようよ〜』

以前、滑り台で遊んだことがないと言っていたのを思い出したの半分。自分が遊びたいの半分で、名前は、雲雀を滑り台へ誘った。

しかし、滑り台に連れて来られたものの、流石にそれに登り滑るのは大人の雲雀には出来ない行為に思われる。

「ここで見てるから、名前が滑って来なよ」

やんわりと誘いを断る雲雀に、名前は、口を尖らせ不満そうな顔を向ける。

『いっしょすべりたいよぉ』

「この滑り台の大きさに、僕は無理だと思うから」

『だいじょぶだもん!!こないだ、りょうへいおにいちゃんすべれたもん』

ピクリ…。
名前の言葉に反応する。

「笹川了平?」

『とね〜りょうへいおにいちゃんと一緒に、どぁぁ〜ってすべった』

「……一緒って…」

『いっしょだよ?んとーわたしまえ、うしろりょうへいおにいちゃんなの』

了平と一緒に滑ったというセリフに反応する雲雀。

一般的に、大人が滑り台というのもいささかどうだろうか?と思われる。
そしてそれがボンゴレ守護者最強の雲の守護者雲雀恭弥である。
誰が滑り台で滑る所を想像出来るだろうか?

『きょうやくん?』

動かない雲雀を不思議そうな視線で見上げる。

「いいよ。一緒に滑る」

我が道を行く雲雀にとって、一般的常識など関係ないようだ。
最初に名前の誘いを断ったのも、ただ滑り台に興味が持てなかったからで、名前の言葉に何やら触発され…言うなれば

笹川了平に負けたくない!

と…言う雲雀方程式により、滑り台体験の行動に至ったようだ。
そんな雲雀方程式を知る由もない名前は、雲雀と一緒に滑り台で遊べると言う事で嬉しそうにはしゃいでいる。

『したらぁ〜わたしさきのぼる!きょうやくんはうしろぉ』

嬉しそうに滑り台の階段を登る名前の後ろからゆっくりと登る雲雀。

てっぺんに到着すると『たかあぁぁい』と周りを見回す。
嬉しい反面高さにドキドキする名前。
滑り台は大好きだけど、やはりこの高さはなかなか慣れないようだ。

狭いてっぺんに名前と雲雀が、寄り添うように立っている。

『すべろ〜』

「いいよ」

滑り口に名前が前、雲雀が後ろで、名前を後ろから抱きしめる形で座る。
名前にとっては余裕の滑り台の幅でも、大人の雲雀には窮屈そうに見える。

そしてこの光景は、児童公園で子供を遊ばせに来ていた奥様やら、通り掛かった人々の注目を浴びていた。

名前については、子供が滑り台で遊ぶのは問題ない。
注目すべきは、スラリとスーツを着こなし、クールな雰囲気を醸し出す整った顔立ちの青年に、滑り台とはなんとも噛み合う筈もなく、みな意外なものを見るような形になっていた。

そんな視線が注がれる事に関し、特に気に止める雲雀ではないようで、注目されるまま名前と滑り台を共に滑り降りた。

『お〜っ!!』

ゆっくりとしたスピードながらも、声を上げる名前。
滑り切ると、後ろで自分を抱える雲雀を振り向き笑い掛ける。

『おもしろいでしょ〜ぉ』

「……そう?ん…名前とだから…楽しいかな?」

名前の可愛い微笑みに、特に滑り台に楽しさを見出せなかったもののそつない感想で誤魔化す雲雀。

『もっかいやろ?』


遊ぶ二人に、注目していた奥様方は、美形は何をしてめ素敵だわ…と、雲雀の意外な姿にときめき、ため息を漏らしていたりする…
当事者には全く関係ない事ではあるが…後日談で、この後数日また美形の青年が見れるのではないかと、児童公園を訪れる女性が増えたと言う事象が起こったりしていた。


数回滑り台で遊ぶと、二人はまた散歩の続きで園内を歩き始める。

「いつもこの後は何するの?」

『つぎこっち〜っ』

手を繋ぎ、名前は元気良く雲雀を次なるいつもの遊びポイントへと…。


2009.10.5&10.8
* ATOGAKI ********
雲雀さんと名前は、楽しく散歩タイムです♪
ほのぼのペースで行くです(*^o^*)
 (10.5のATOGAKI)


うひゃ〜っ!!やっちまった☆
雲雀さんが滑り台ってどいないなの?んなあり得んでしょ〜(゜∀゜;ノ)ノ
雲雀さんゴメン。
でも、名前ちゃんと一緒だから許される?なんて…
でもね、滑り台を滑る雲雀さんをちょっと見てみたいと思ったんですよ〜!
(自己満足(≧△≦))

失礼いたしました。
 (10.8のATOGAKI)

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あきゅろす。
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