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(一万打記念)遊ぼう*3(獄寺編)last

「どちらが宜しいですか?」

名前がよく雲雀と共に買い物に行く百貨店のキッズフロアーにあるある店に獄寺と名前は来ていた。

そしてニコニコと笑う店員に、どう対応して良いのか分からず頭を抱える獄寺がいる。

「そう…言われてもなぁ…」

店員の右手には、花柄のビキニタイプのスカート付き水着。左手には、ポップなキャンディ柄のワンピースの水着。

その2点を目の前に出されても、オレにどうしろと??

「どちらもお似合いだと思います。んーオススメは、花柄ですけど」

どちらとも決められない獄寺に、店員は助け舟で花柄をすすめる。

「じゃあそいつでいい…かな…。オイ!名前お前のなんだからもっと参加しろって」

「う?」

「名前ちゃんは、どっちがいい?」

「おはな!」

元気に花柄の水着を指差す。

「……じゃぁそいつで」

「かしこまりました。少々お待ち下さい」

そそくさと店員は商品の会計をする。
獄寺の側で、周りの商品を興味深々に見ている名前の頭を小突く。

『う?』

「ったくー、オレ一人悩んでアホらしいじゃねぇか!」

『えらんだよぉ』

「そうだなーぁ。オレが悩み通した後になっ」

「お待たせしましたぁ。こちらが商品です」

可愛いビニール袋に入った商品を獄寺にニコニコと営業スマイルで手渡す。

「あ、どうも。さて名前行くぞ!」

『はーい』

さっさと店内を出て歩き出す獄寺に、付いていこうとする名前を、ふと店員が呼び止める。

「名前ちゃん」

『ん?』

「今日は、いつものスーツの人じゃないのね?」

『きょうやくん?うん。ちがう』

「あの人もカッコイイわね…」

『かっこいい?うーん…うん。はやとはねーともだちなのぉ』

「そ、そうなんだ…」

幼児にして、いい男に囲まれている名前の環境。なんとも羨ましい。
店員と話をしていて、遅れている名前に気付き振り返る獄寺。

「たくーなにしてんだ!早く来い!またここで迷子になりたいのかよ」

『わわわ、まってぇ〜』

ぱたぱたと獄寺に追いつくと、一度迷子になった店という事もあり名前は獄寺の手を握る。

「ん?」

『まいごなんないよ』

獄寺の手をキュッとすると、悪い気はせず名前の小さな手を握り返す。

「あ、この荷物はお前んだからな、持っとけ」

肩から下げられるようになっているビニール素材の袋を名前の肩に掛けてやると、その荷物を持てるのが嬉しいようで、ニコニコする。

『はやと!ありがとぉ〜』

「あ、ああ。まぁ…別に…。持ってねぇから仕方なくだ」

照れ隠しに、名前の頭をガシガシと撫でる。

『うーいたい…』


これで、プールの準備は万端。
再び車に乗り込むと、獄寺の携帯にメールの着信をしらせるランプが点滅しているのが見える。

ん?誰からだ?メールなんて…

そう思いながら、ディスプレイに受信したメールの差出人を見る。

「じゅ、十代目???」

そのメールは正しくツナからのもので慌てながら、メールの内容を確認した。


*****************************
  X月XX日 11:59
From 十代目
Sb 楽しんでる?
*****************************
山本から聞いたよ。
名前ちゃんとプールなん
だってね。
楽しそうでいいなぁ。

あ、そうそう、そこでお願いがあ
るんだけど。
オレの癒しのために、名前ちゃんの
楽しそうな写真(水着なら尚良し)
送ってね。
よろしくねー。



「……」

ツナからのメールを読み動きが止まる獄寺。

名前の写メ???十代目!!これは…何かの罰ゲームっすかぁぁ!!!!

ガックリとする獄寺を不思議そうに覗き込む名前。




なんやかんやとありながらも目的地並盛プールに到着。
獄寺に買ってもらった花柄水着を着てはしゃぐ名前に、既に気疲れ気味の獄寺が後に続く。
初めて訪れたプールは、とても広く様々なプールが見える。
さて何処へ行くかと、案内図の前に立つ二人。
案内図に、「ちびっ子ジャブジャブプール」と書かれた所を発見した獄寺は、そこへと名前を連れて行く。

ちびっ子プールの中央には、象さんの鼻が噴水になって勢いよく水が噴出し、その周りにちびっ子達が楽しげにはしゃいでいるのが見える。

名前は、キラキラした瞳でそのプールを見て、『うぉーすごぉー!!!』と叫び興奮している。
走り出したい気持を抑えつつ、ウズウズしながら獄寺の顔を見上げる。

「ここなら、プールも浅いから安心だからな。とは言え…転ぶなよ」

『うん』

転ぶなと言われたものの、『きゃー』と奇声と共に、パタパタと走ってプールに向かう。
水際に立つと、ドキドキしながらそっと水に足を入れる。

『うはぁ…ち、ちめた…』

初めてのプールの水に緊張しつつも直ぐに馴れ、ジャバジャバと足を踏みしめキャッキャッとはしゃぐ名前。
それを少し離れた所で転がって眺めている獄寺。
そんな獄寺に気付くと、パタパタと名前は近づき獄寺の腕を掴むみ遊ぼうと引っ張る。

『はやとも、いっしょあそぼうよぉ。あの、みずぶわーってとこいこお〜』

どうやらゾウの噴水に行きたいものの…一人で行く勇気が無く獄寺を誘う。

「ちびっ子プールだろ。オレ浮きまくりじゃねぇか。嫌だって」

断る獄寺を何としてでも連れて行きたい名前は、ジタバタと暴れて獄寺にくっ付いて離れない。

「ちょ、やめろって!恥ずかしいつーの」

『じゃぁいこうよぉ』

名前の攻撃に負け、渋々ちびっ子プールに向かう獄寺のは、何気に照れながら歩いているものの、そんな事はお構い無しに名前は浮かれながら腕を引っ張り、バシャバシャとプールに入って行く。

諦めた獄寺は、開き直りゾウの噴水に近づくと名前をからかう様に、何気に楽しげに名前と遊び始めた。

『きゃー!!たのしぃねぇ』

はしゃぐ名前は、獄寺に水を掛けたり掛けられたり。
楽しくて仕方ない。

「よし、違うプールに行くか」

『う?』

獄寺はエンジンが掛かったようで、名前を連れ波のプールへ足を運ぶ。
波のプールは人気の様で、沢山の人が波を楽しんでいる。
波が足に掛かるのを物珍しげに見ながら、波が楽しくバシャバシャ進み名前の腰の深さまで入って行く。

「おもしれえだろ」

『うん!おもしろぉ』

と、返事をした瞬間に大きな波が名前に掛かり、よろけて後に立つ獄寺にぶつかる。

『うーおはなにみずぅ!!!いたぁ』

予想外の出来事に、鼻を押さえ顔を顰める名前を見て笑う獄寺。

「ぶっ。変な顔になってるぞ」

『へ、へんくない!おはないたいぃー』

「直ぐ治るって。それよりもっと奥まで行くぞ!」

『ええええぇ!!こわいぃぃ』

おののく名前に、獄寺は意地悪い顔で名前を抱え笑いながら波に乗りつつ歩いて行く。
抱えられ波を避ける名前は、初めは怖がっていたものの次第に波が楽しくキャーキャー笑いながらはしゃいで獄寺の首に腕を回し喜んでいる。

『なみたのしいねぇ』

「だろっ」

はしゃぐ名前が可愛くクスリと笑った所で、獄寺はふと現在の状態に気付いて慌てる。

名前の顔が近けぇ!!!!
やべぇ、なんかすげぇ可愛い!!!

そこに不意に来た波に上手く乗れず思い切り波に当たる。

『うげぇーみずのんだぁぁぁぁ』

「あ、ワリイ。オレも水鼻に入った。痛てぇ」

『はやとのばかぁ』

涙目の名前に謝りながら波のプールを出て、プールサイドに上がる。

『う゛…』

鼻をクシクシ摩る名前に、何処に行っていたのかヒバードが戻ってくると頭にポフリと乗る。

『あーヒバードぉ。どこいってたの?』

波にのまれ不機嫌そうだった名前であるが、ヒバードを見るとすっかりその事を忘れ、笑ってヒバードと戯れる。
その横で、波のプールでのことを思い妙に照れる獄寺が座って名前を見ている。

はーったく。ガキに何緊張してんだオレ…アホかっ!!!

ゴロリと誤魔化す様に横になる。

『ヒバードぉ。なみのぷーるすごいんだよぉ。でもね、おもしろかったぁ。おはないたいけど…』

あははは…と笑い、ヒバードに話す名前の声を聞きながらウトウトする。
多分寝たのは数分。
ふと、目を覚ましヒバードといるであろう名前の姿を探す。

「やべぇ」

名前の姿が見えず冷やりとするが、自分の傍らに何か温もりを感じて見れば、獄寺の横で寝息を立てて寝ている名前がいた。
その姿に安心し、名前の頭を優しく撫でてやると、寝ているのに嬉しそうに笑う。

「ったく…お気楽な野郎だぜ」

名前の柔らかい髪を撫でながら、寝ている名前の頭に近づきキスをする。

「はっ!!!!」

やべぇ…いや!
これはあれだ…挨拶みたいなもんであって…
ヤバいもんじゃねぇ!
そ、そうだ。うん。うん。

自問自答。
名前の側にいるヒバードの瞳が何やら言いたげに見える気もする。

「んだよ。このアホ鳥。なんか文句なんのか?」

ヒバードは、獄寺に興味が無くなったのかプイと視線を逸らし、名前に擦り寄よる。

「さて…そろそろ帰らねぇとだなぁ…」

プールに置かれた時計を見ると結構な時間になっている。
名前を届ける時に、雲雀に会うのは余り得策とは言えない。
立ち上がり、寝ぼけた名前を起こす。

「おい!こら!そろそろ帰るぞ」

『ふえ??うー???』

目を擦りながら、周りをキョロキョロして自分のいる場所を思い出す。

『えーっ。もっと…ぷーるあそびだい…』

「帰らねぇと。草壁と夕方には帰るって言ってあるんだよ」

『……』

渋々ながら頷きつつ、獄寺を見つめる名前。

『ねーねーはやと。たのしかったねっ』

万遍の笑み。

「ま、まあな」

『えへへ〜。またあそんで?』

ちょこんと首を傾げつつ獄寺を見つめる名前。

「……。ああ、仕方ねぇから遊んでやってもいい」

名前を小突き、帰る準備を進める。




疲れた名前は車に乗ると直ぐに眠ってしまい、規則正しい寝息を立てている。
獄寺は、名前を起こさぬようにとゆっくりと運転する。

運転しながら楽しげに、珍しく鼻歌交じりの獄寺であった事は、名前の膝で丸くなるヒバードだけが見ていた。


こんな休暇も悪くねえ。

そんな事を思う獄寺なのでした。


END

20090907
一万打記念



*ATOGAKI******
記念小説獄寺編。あがりましたね〜。
獄寺編はちょっと苦労しました(>_<)
雲雀編は結構スムーズにいったんですけど…獄寺の扱いがなかなか難しい!
そんな獄寺編ですが…楽しかったと思ってもらえたら幸せっす。
あとおまけの話もありますんで良かったら読んでやってください☆

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