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(一万打記念)花火*4(雲雀編)last
ドーン

夜空に色とりどりの花が咲き乱れる。

ヒュー ドン

幾つもの花火が、夢のように輝いてそして消えていく。
弾ける瞬間胸が高鳴り、夢がもっと見たいと誰もが思う。

それは、真夏の夜の夢のように…。


二人きりで邪魔する物もないシチュエーション。
花火を独占して見ればこれほどロマンチックな事はない。

二人きりなのはその通りなのだが、そうならない場合も…ある。


『うお〜〜っ!!!!』

間近で巨大な花火が上がる度に、『うがぁ!』だの『ふおぉ〜っ!』と、奇妙な歓声を上げる名前。
上がる花火の度に、百面相をしながら凄い凄いとはしゃぎ、特大の花火が上がると、音の迫力と大きさにビックリして耳を塞ぎ、その度横にいる雲雀にぶつかる。

『すごぉ…はなびおっきいねぇ』

寄りかかる体勢で、目がこれ以上大きくならないんじゃないかと思えるほど見開いて、その瞳に花火の輝きを写しながら雲雀を見上げる。

それに答えるように微笑んで、名前の頭を撫でる。

『えへへ〜っ』

雲雀の優しい微笑みに照れ笑いを返しばがら、雲雀に寄りかかったままの姿勢で上がる花火を楽しげに見ている。
幼い名前の暖かい体温を感る。

「ヘリをチャーターしてよかった…」

ぽそりと独り言。
花火大会の関係者ブースを出た二人は、雲雀が草壁に手配させたヘリで、花火大会を上空より堪能している。
誰も邪魔される事無くゆっくり観覧できる空間。
ヘリの中は、二人が快適に過ごせる広さを有し、更に親切な事にドリンクや、フルーツまでも用意されている。
急な雲雀の要望にも係わらず流石!草壁である。

花火大会も佳境に差し掛かり、次々と花火が上がる中、名前は興奮しているものの同時に眠気も襲って睡魔と格闘状態の名前。
雲雀に寄りかかる名前を、膝に乗せて落ちないように腕で体を支える。

「眠くなった?」

頭を撫でられると気持ちよくて眠くなりそうになるのか、目を両手でくしくしと擦りながら首を振って否定する。

どーん!!

大きな花火が上がり、名前が花火の色に染まる。

『きれ〜』

「ん…」

『はなびたいかいて、すごぉおいねぇ』

「楽しい?」

『うん。きょうやくんは?』

「楽しいよ」

幾つもの花火が上がり、雲雀も花火の色に染まるのを見て、名前は小さな手を雲雀の顔に伸ばしてそっと触れる。

「きょうやくん。はなびとおんなしだねぇ」

「名前もね」

頬に触れる小さな手を、雲雀の手が優しく包む。

笑う二人。

大きな花火が花火大会の最後を飾る。

ドン ドーン

『きょうやくんの、おめめにはなび…きれい』

雲雀の瞳に写る花火を見て呟き見つめる。

花火の上がる音だけが響く空間。
ほんの数秒の筈なのに、ゆっくりと過ぎるようで長く感じる。
雲雀は、名前の小さな手のひらを唇でそっと触れた後、名前を引き寄せお互いのおでこを合わせ見つめる。

『?』

「離さない…」

雲雀の小さい囁きは、花火の音で名前の耳まで聞こえない。

『ん?ん?』


そっと唇が近づく…



あと少し…。


ブルブルブル・・・・・・・。
雲雀の懐で、何かが振動している…。

「!?」

『ほえ?ぶるぶる?』

キョトンとする名前。

「……」

携帯が…震えつつ、最後の花火も終わり静かな夜空の上で並中校歌を奏でている。

ムッ。

花火前草壁に連絡した後、携帯の電源を切るのを忘れていたようだ…。

「……」

着信を見れば、
沢田綱吉とディスプレイの表示が見える。

「ムカつく…」

『おでんわぁ?』

雲雀の手元の携帯を覗き込む名前の頭に手を乗せながら、ムカつく電話をと切る。
が、電源を落とす前にまた直ぐ掛かって来る。

イラつきながら通話のボタンを押す。

「なに?」

イラつく声で応じる雲雀。

「あ〜っ。雲雀さん!酷いなぁ〜今、電話切りましたよねぇ」

「……」

「花火どこで見てたんですか?名前ちゃんも一緒に、みんなで見ようと思ったのに、雲雀さん居ないしなぁ」

不機嫌なま返事を返さずにいる雲雀に、構わず話を続ける。

「ディーノさんも来てたの知ってますよね…本当に残念だなぁ」

「ねぇ」

「はい?」

「わざとでしょ」

「え?何がですか?」

惚けて返すツナの声に、含み笑いが混ざっている。

「ははは、バレました?」

「分からないと思う?」

「ははは、ヤッパリ雲雀さんには、バレちゃいましたかぁ〜ははは!ええ、嫌がらせですよ。超直感て…こんな時便利ですよね」

サラリと返す。

「沢田綱吉。咬み殺されたいんだね…」

静かに…でも、凄みのある声でツナに呟き掛ける。

「そんな訳ないですから。何でそんなに怒るです?何しようとしてたんですかぁ?あ、それと…」

ツナの言葉を聞き終わる前に電話を切り、今後は素早く携帯の電源を落とす。

…ムカつく……。

電源の落ちた携帯に悪態付く。
ツナとやり取りをしている内に、膝の上の名前は疲れたのか既に、雲雀の中ですやすやと夢の世界に入ってしまっていた。

ふぅ。ため息を付くと、雲雀の懐で安心しきって眠る名前の顔に張り付く柔らかい髪をそっと払い除ける。
そして、眠る名前のおでこに優しくチュッと触れた。

雲雀の頭に乗っていたヒバードは楽しげに、でも名前が起きない様に小さな声で「ナカヨシ ナカヨシ」と繰り返す。

ヒバードの声に答えているのか、『えへへ〜っ』と嬉しそうな寝顔をしている。

『ん……。 きょうやくん…だいすき…』

「寝言?」

どんな夢を見ているのだろうね…。



「僕も、名前が好きだよ」



夢の中に届くように優しく囁いた。


END

20090816
一万打記念



*ATOGAKI******
記念小説雲雀編。いかがでしたか?
いつもより甘さ+αしているつもりなんですが…
気に入ってもらえたら嬉しいっす(≧∇≦)

ヤッパリ雲雀と、チビは、イチャイチャしてるのがいいなぁと…。

邪魔者が何かと入りますが…負けるな!雲雀さん!!

ちなみに、ツナに邪魔されましたが…最後に、チューしようとした場所書いてませんが、そこは皆様のお好きな所を想像してやってくださいませ。
私は…やはり…。えへへ

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あきゅろす。
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