(一万打記念)花火*2(雲雀編)
並盛花火大会。
開催当初、夏祭りの一部だったものがココ数年の内に大きくなり、独立した花火大会となった。
その理由に、雲雀やツナが関係している。
花火大会を開催するには、費用が掛かる。花火一つで、何百万。
数多くの花火を上げるために、花火大会ではいろいろな企業にスポンサーとて、協賛金を募る。
雲雀が風紀財団を作り、ツナがボンゴレ十代目となったことで、並盛花火への協賛金を出資するようになり、資金が莫大に増えた。その上、ボンゴレとして協賛金を出していないツナではあるが…、ボンゴレが協賛している事で、並盛町には関係ない海外からの企業からも協賛金が集まるようになった。
これは、イタリアマフィアなのだが、表向きには(当たり前だが)一般の会社企業として協賛参加している。
並盛町の花火実行委員達は、この協賛金がまさかマフィアからとは思う訳もなく…何故海外からの企業が資金提供し、お金が集まるのかと…首を捻る。
とは言え、協賛金を断ることなどする訳もなく、協賛金に喜んだ。
資金が増えればそれだけ花火を手配する花火の数は増え、規模も大きくなっていく。
今では、日本の中でも有名な花火大会の一つとなっていた。
そんな花火大会で、多額の協賛金を払っている雲雀ではあるが、花火を関係者として会場では見た事はない。
規模が多くなった事で、更に増加している人の群れに我慢出来る訳もない。
しかし、今回の花火大会に限って参加をする旨を草壁が連絡する。
実行委員の面々は驚き慌てた。
多額の協賛金を提供するあの雲雀恭弥を…どう…接待すればいいのか…と。
花火当日ではあるが、その対策として緊急会議が開かれたのは言うまでもない。
『きょうやくん!!みてみて〜ゆかたぁ』
草壁に浴衣を着せてもらって上機嫌の名前。
パタパタと雲雀の許へと駆け寄る。
名前の浴衣は、白地に赤い金魚をあしらったもので、ピンクの帯がフワリと巻かれている。
雲雀に引っ付いて、どう?どう?と、見せる。
そんな名前を可愛く思わない訳もなく、雲雀はいつものように抱きかかえると名前の柔らかい頬にキスをし、囁く。
「可愛い」
えへへ〜っと照れる名前。
「きょうやくんも、かっこいーよぉ」
浴衣姿の雲雀にテレ笑いしながら、名前からぎゅっと抱きつく。
いつもの着流しと変わらないんじゃない?思うものの、可愛く抱き付かれ悪い気はせず、チュッと名前の髪にキスを落とす。
『ねーねー!!きょうやくん!はなびどんくらいから?』
雲雀にくっ付いて嬉しいのと、花火が楽しみなのが相俟っていつもに増して興奮している。
「興奮し過ぎだよ。花火は、夜7時からだから…」
興奮する名前の前髪を指で払い、興奮して高揚した名前の頬へそっと手を進める。
雲雀のひんやりした手が気持ちよくて目を細め、猫がする様に頬擦りする。
「……」
添えた手の指が柔らかい頬を撫でながら、気が付けば雲雀と名前の距離は更に近くなる。
「恭さん。失礼します」
襖を静かに開け草壁が部屋に姿を現すと、一気に部屋の甘い雰囲気が壊れ、雲雀の思いっきり不機嫌で冷ややかな視線で睨まれる。
「……なに?」
不機嫌極な声と、オーラをぶつけられる草壁。
『ほぇ?』
名前は、キョトンと草壁を見ている。
な、何かしただろうか…?
刺さる視線で、自分が雲雀の機嫌を損ねた事をしたのが分かるが、原因が全く分からず困惑する。
「恭さん。お電話です」
「電話?誰?」
草壁から相手の名を聞く前にさっと電話を受け取ると、無粋な電話の主の声を聴く。
「おっ!恭弥か?お前、携帯の電源いれとけよなぁ〜。繋がんねぇから、草壁の方に掛けちまっただろ」
「……」
「あれ?お〜い!!繋がってねえのか?もしもーし。お〜い!恭弥ぁ!!ディーノさんだよー!!」
疲れた溜息を付く。
「……。あなた、煩い。」
「なんだ、聞こえてんじゃねぇか。放置すんなよなぁ」
「何か用?」
「今、ツナんとこ居るんだけど、恭弥も今夜の花火大会いくんのか?」
「関係ない。なんで、日本にいるの?」
「なんでって、オレも花火大会のスポンサーだしなっ。でな…」
ツーツー。
聞いているのが面倒になり、ディーノが話している途中で切り、フンと不機嫌な声を出すと草壁に電話を投げる。
「また跳馬から電話が来たら、僕はいないから」
「はぁ」
再び、草壁の携帯が鳴る。
「何切ってんだよ〜っ。酷ぇ冷てぇなぁ。んでなっ、」
「ディーノさん。申し訳ないのですが雲雀は、不在です…」
「あれ?なんだよ〜草壁かぁ?いない訳ねぇだろ今話してたのに…」
「はぁ…」
「まぁいっか、今夜ツナ達と花火見っから恭弥に来いって伝えてくれよ」
「伝えてはおきますが…」
「お〜っ。よろしくな」
電話を切り、雲雀を見る草壁。
「だそうです」
「相変わらず煩いねあの跳ね馬…声が洩れてるし。一緒に行くわけない」
そんなやり取りを不思議そうに見ている名前。
『うま?』
「ん?」
『きょうやくん。おうまさんとともだちなの?』
すごーと、尊敬の眼差しで見つめる。
『わたしも、おうまさんとともだちなりたいなぁ!!』
「友達じゃないから。それに、名前には、会わせない…」
イタリア男は危険だからね…。
草壁は、そんな雲雀を見て、恭さんの方もどうかと……と心の中で密かにツッコむ。
「哲。なにか言った?」
「い、いえ別に」
慌てながら雲雀の視線を避けるように部屋からそそくさと退散する。
『ん??』
なんだかよくわかんないけどぉ…おうまさんのりたいなぁ…
1人呑気な名前。
20090813
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