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warmly

『えっとぉ…んとぉ…』

どうしたらいいのかな?
伸ばされたその手を掴むのは容易い。

でも…

この場所から離れていいのか分からない。

おかぁさん。ここでまっててってねって…でも…

戸惑う。

「名前?」

雲雀を見詰める。

『でも…おかぁさんがぁ…きたときいないと…おやくそくがぁ』

「……ふぅ」

母親を思って待つ一途な名前の思いに、小さく溜め息を着く雲雀。

「僕はこの神社の神主と知り合いだから、名前のお母さんが来たら僕に連絡くれるよう頼んでおくよ」

「名前をカタカナで!ハヤク!ハヤク!」

おかぁさんがきたら、おしえてくれるの?

不安そうに雲雀を見れば、雲雀は小さく頷き返す。

だったら、この手を取ってもいいのかもしれない…。
どこに居るのかが分かるなら、繋がりは途切れない。
ここで独り、母親を待つのは嫌だった。
時間が経つにつれ、次第に大きくなって行く不安。
別れ際の母親の顔を思い出す。

もしかしたら…。

考えてはいけない。

でも…。

でも…。

ドキドキと不安で心が押しつぶされてしまいそう。

自分へと伸ばされた手。

いいのかな?
おやくそくまもらなくても…おこんない?

「名前」

もう一度呼んでくれる。

「さっきも言ったけど。君に、拒否権は無いよ。それと僕は、あまり気が長い方じゃないから」

名前は、大きな瞳をパチパチと瞬きをする。

『きょひけんて…なに?』

「おいで…」

雲雀の優しい声と、伸ばされた手に押されるように、名前は、雲雀の手そっと握った。

その名前の小さな手を、雲雀は握り返す。
雲雀な大きくて優しい手。
それがとても嬉しくて…名前は雲雀に笑い掛ける。

その微笑を承諾と理解し頷くと、満足気に立ち上がる雲雀。
名前の手を引き、ゆっくりと歩き出す。

ああぁ!?

「何?」

名前の間の抜けた大声に、思わず顔をしかめる。

『ようちえんのせんせがね、しらないひとに、ついてっちゃいけませんよーて、いってたの』

この状況で、それを思い出すのか?という展開。
幼稚園の先生との約束を、守ろうと思う名前は、オロオロと慌てている。

「ねぇ。僕の名前は?」

『えぇ?
ひばり…きょうや…?』

「知ってるじゃない」

『うおぉ?』

「知らない人じゃない」

あれれ?いいのかな?おやくそくやぶってないのかな?

うーん。と悩む名前を見つめる雲雀は、少し意地悪気に口元を歪める。

「行くよ」

いいんだきっと!だって、おなまえしってんもん!
それに…このひとのては、とてもやさしいよ。

名前は、もう一度雲雀の手をぎゅっと握ると、雲雀もそれに答えるように、優しく握り返した。



2009.4.30
2009.11.30修正

.*ATOGAKI******

やっと並盛神社から移動です!(長い?)
名前ちゃん、にとってお約束はとても大切です。
でも!手を掴んだ名前ちゃん!

さぁ〜雲雀さんのアジトにGOですヨ♪

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