Lunch time2
青く庭園に綺麗に敷き詰められた芝生の上をパタパタと、元気いっぱいの笑顔でハルに向かって走る名前。
『はるちゃーん』
名前に笑顔で手を振るハル。
その横で、京子も名前の姿を見ながら「可愛いね」と、微笑んでいる。
到着するまでにたまに足を取られよろける名前の姿に慌てる二人。
「わわわっ!転ばないでくださいねー!!」
名前が近くまで来ると、思い出したように京子が呟いた。
「あれ?あの子…」
「あ、京子ちゃんは名前ちゃんと会うの初めてですよね」
ハルの問いかけに京子は首を振る
「ううん。確か、お兄ちゃんと一緒に公園に居て会った子だと思う」
「はひ?お兄さんとですか?」
「うん」
二人の元到着する名前は、少し息を上げつつピンク色の頬をしながらハルの足に嬉しそうに抱きつき笑顔をハルに向ける。
それがなんとも可愛い。
「名前ちゃん!!!」
ハルは、可愛さのあまり思わず名前をギュッと抱き締め「可愛いですぅ」とハイテンションになる。
『ぐえっ??』
思い切りギュッとされて、苦しくて変な声をあげ名前に、横にいた京子がニコニコしながら声を掛ける。
「こんにちは、名前ちゃん。私の事…覚えてるかな?」
ハルの腕から顔を少しずらして京子の顔を見上げ京子の顔を見つめる名前。前に、了平と公園で遊んでいる時に会った人だと思い出し頷く。
「きょこちゃん!うんとぉーりょうへいおにいちゃんといっしょあった」
「うん。そうだよ」
ほのぼのと笑いあう二人。
「お二人とも既に出会い済みだったんですねぇ」
「『うん』そうだね」
名前が走った後を、ツナと雲雀はゆっくりと歩いている。
無表情の雲雀に、ツナは話しかける。
「雲雀さん。今日は残念な事、全員集合出来なかったんです」
言葉の割りに、残念そうでもないツナの表情をチラリと見ながら「そう」と素っ気無い返事を返す雲雀。
「骸とクロームはまだ任務中で、リボーンは今日の昼には戻って来るハズだったんですけど飛行機の都合で早くても今夜日本に着くそうで。ランボとフゥ太も学校だし…」
残念残念と笑顔で繰り返すツナ。
「ふーん。まあ、六道骸は居なくて良かったよ」
「え?そうですか?あー……そうかも知れませんねー。居たら…」その光景を想像し、思わず頭を振ってそのイメージを振り落とす。「うーん。やばかったですね…」苦笑い。
「なんで、今日のメンバーは、オレにハル、京子ちゃん、京子ちゃんのお兄さん、山本、隼人、雲雀さん、名前ちゃんの7人なんです。少なかったですか?」
「…群れすぎ」
「言うと思いました」
ツナは名前に視線を移し
「今日は名前ちゃん楽しんでくれえるといいなぁ」
雲雀に向かってニコリと笑う。
「・・・・・・」
なんとなく牽制し合う二人は、名前の元にたどり着く。
『あ〜。きょうやくん』
雲雀に気が付き嬉しそうに側に寄る。雲雀の横に居るツナは、ニコリと名前に笑いかけつつ準備をしている二人に視線を移す。
「ハル、京子ちゃん。準備の方はどう?」
「OKです!ねー京子ちゃん」
「うん。後はみんな集まるのを待つだけだよ。」
そう言って、芝生に敷かれた大きいレジャーシートの中央に並ぶいろいろな料理と、その横に作られた小さなドリンクバーを、自慢げにツナに示す。
「凄いなぁ〜流石だね。二人ともありがとう。お兄さんと、山本はそろそろ来るんじゃないかなぁ…。山本は、寿司を持ってくるとか言ってたなぁ」
お寿司と言う言葉に、反応するハル。
「お寿司ですかー楽しみです〜」
『おすし?』
「ん?山本さんのお寿司は美味しいんですよぉ」
寿司が楽しみだと名前に笑い掛けるハルの後ろから、雲雀が声を掛ける。
「ねえ。三浦ハル。お願いがあるんだけど」
「はひっ!!!!な、なんでしょうか?」
雲雀の声に思わず返事の声が裏返るハル。恐る恐る緊張しつつ雲雀を見る
「消毒…して欲しいんだけど」
「はひ?消毒ですか??」
「うん」
雲雀の説明不足な言葉に今一つのハル。
「えっと…どなたに消毒でしょう?雲雀さんですか?」
「僕の訳ないでしょ。名前だよ。さっき転んでね」
「転んだ???」
雲雀の足にじゃれ付いてる名前は、雲雀の台詞ににテレ笑いを送る。
『とねーさっきぃ、だぁーってはしったらぁばたーってころんだの。でも、げんき』
ハルに大きく両手を上に上げてつつを広げて見せて元気度をアピールするものの、ハルは慌てている。
「大変です!怪我は?ちゃんと見せてください!!!!」
ハルは雲雀から名前を引き剥がすと、自分に向けさせ手や膝小僧をマジマジと見る。
「擦り剥いてるじゃないですかぁー消毒しましょう!!!ツナさん」
「ん?」
「ハルちょっと名前ちゃんの手当てしてきます!」
「そうだね、大した事ないみたいだけど…一応消毒した方がいいね」
「はい。名前ちゃんいきましょう」
『う、うーん』
そう言いながらも、何故か雲雀のズボンを握る名前に、どうしたんですか?と困った顔をするハル。
「名前。僕は帰らないから、ちゃんと消毒してもらって来て」
名前の頭を撫でながら優しく微笑む雲雀に、安心したのかズボンを掴んだ手を離しコクリと頷くとハルの手を掴む。
「じゃー行ってきます」
『いってくる』
二人は手を繋いで、楽しそうに話しをしつつ屋敷に向かって歩いていく。
雲雀は静かに二人の後姿を見送る。
その傍らで、ヒソヒソと話すツナと京子。
「ツナ君。雲雀さんって…あんなに優しく笑う時があるんだねー」
「うーん。多分、名前ちゃん限定」
「そうなの?」
「うん。雲雀さん名前ちゃん溺愛」
「そうなんだぁ。へーぇ」
ヒソヒソ話す二人に鋭い視線でジロリと睨む雲雀。
「「(わっ!ムッとしてる)」」
「全部聞こえてるから」
フンと、そっぽを向くと特に二人に興味が無くなりシートの上にゴロリと横になる。その雲雀の頭にヒバードがチョコンと乗る。
ハルに手を引かれ屋敷に入り、リビングで擦り剥いた膝に消毒をしてもらう名前。
擦り傷に消毒液が沁みるのかしかめっ面になり『うううーっ』思わずうなり声を上げる名前の仕草が可愛くて、ハルは微笑みつつ手当てをする。
「気を付けないとですよ!走って転ぶなんて」
『だってね、なんかうれしかったんだよぉ。したらぁぐおーってはしりたくなったの』
「んー分からなくもないですけど…今日は、こんなに可愛いお洋服とリボンでラブリー度がアップしてるんですから…」
『う…可愛い?』
「もちろんです」
二人はほのぼのと笑いあう。
傷の手当ても終わり救急箱を片付けているハルに、扉から不意に声が掛かり声の主に視線を送る。
「あれ?ハル。ツナが何処言ったかしらねぇ?部屋行ったらいねんだけど…あれ?」
「あ、山本さん。ツナさんでしたらもう庭の方に…ん?」
ドアの所に立つ山本に返事をすると、山本は答えているハルよりもその傍らにいる名前を驚いたように見つめている。
ハルの横にいる名前もまた、山本の姿を捉えると目をパトパチと瞬きをして驚きの顔。
『たけしくんだぁ』
「はひ?」
「名前じゃねえかぁ」
名前を呼び合う二人を「え?え?」交互に見て何がどうなっているのかと首を傾げるハル。
「お二人とも、いつの間にか知り合いですか??」
驚いているハルに、山本は笑いながら二人の元に近づくと、名前の頭に手をのばしポンポンと触れ、名前も嬉しそうに山本に笑い返す。
「まあな。前に名前が迷子の時に会ったんだぜ。なぁ」
爽やかに笑う山本。
「そうなんですかーぁ」
「でもよ、なんで名前がココにいんだ??」
「え?えっとぉ。今日は名前ちゃんと一緒にランチですから」
「ツナが言っていたスペシャルゲストって名前のことなのか?」
「雲雀さんと一緒に、さっき来たんですよねー」
名前に同意を求めるように見ると、コクリと頷く名前。
「え?雲雀?」
何で雲雀なんだ?と眉を少し寄せながら考える山本。
『あのね、きょうやくんと、ヒバードと一緒に、ツナさんのところきたの』
何故か自慢気にエッヘンと意気込む。
「きょうやくん?きょうや…雲雀恭弥…ってぇーきょうやくんって、雲雀の事なのかぁ?」
“きょうやくん=雲雀”の式が山本の頭の中で組み立てられはしたが、この幼い名前と雲雀との繋がりが理解できず混乱気味で、「う〜ん」と唸りながら顎に手を当て顔を天井に向けしばらく悩む。
困惑したまま固まった山本を、見るハルと名前に山本は気が付くと、ああ悪いと頭をかきながら笑う。
「そうなのかぁ。きょうやくんが雲雀ねぇ」
うんうん。そうなのか面白いなぁという顔をして、一先ず頭の中にインプットする。
「雲雀さんと名前ちゃんは、ラブラブですから」
「はぁ?なんだそれ?はははは」
ハルの言葉を笑ってサラリと流す。
「名前、元気してたか?」
『うん!すごーぉぉいげんき!』
「そっかー。今日は、オヤジに寿司握ってもらって持って来たからな。皆で食べようぜ!」
『すし』
「ああ、すげー絶品だぜ!」
『ぜっぴん????』
「あーっと、すげえ美味いって事な」
美味しいと聞いて、目をキラキラさせる名前。
思わすその期待にお腹の虫が食べたいと主張を開始し、『ぐぅぅ〜っ』とリビングに鳴り響く。
その音にあわわわと照れる名前と、クスクス笑うハルと山本。
「ははは…。やっぱ腹は素直だよなぁ。よし、ツナんとこ早く行こうぜ。ってー言うか、二人はココで何してたんだ?」
「名前ちゃんが、転んでしまって…大した怪我はないんですけど一応消毒をと思って」
『はしったらねーころんだの』
「そっか、元気なのはいいけど気をつけねーとな」
名前の頭を更にガシガシと撫でる。
「あー!もぅ!!山本さん駄目ですよーぅ」
山本の腕を取って慌てて注意するハルは、山本の手から名前を離す。
そんなハルに、肩を竦める山本。
「なんでだ?」
ハルの注意に意味が分からず抗議の声。
「そんなにガシガシ撫でるから名前ちゃんの髪型がぐしゃぐしゃじゃになっているじゃないですかぁ!!直さなきゃ!」
気が付けば、草壁が出かけに可愛く結んでくれた髪が乱れ気味になり、ピンク色のリボンが取れそうになっている。
名前の髪を綺麗に整え、リボンを結びなおす。
「あー悪い、悪い。ごめんな。つい名前が可愛いもんだからさ」
反省している風もなく笑う山本。
「可愛いのは分かりますが!今日の名前ちゃんは、いつものラブリーより更に可愛くオシャレしてスペシャルなんですから」
ハルに言われ、『えへへへ』と照れる名前。
「本当だな、ゴメンな。その服可愛いな。名前に似合ってる」
『ほんとぉ?』
名前に笑い掛けながらウインクを送る。
「おう。嘘はいわねえよ。よし、お詫びって訳じゃねえけど、ツナのとこまで肩に乗せて連れてってやろうか?」
迷子になった時に乗せてもらった事を思い出し、嬉しそうに頷く名前。
「よし、行くぜ」
『おーっ』
元気な掛け声に楽しそうな3人は、庭に向かう。
山本の肩に乗せられはしゃぐ名前。ふと思い出したように山本に問いかける。
『たけしくん。あのねー』
「ん?どうした?」
『とーぉね。はやといない?』
以前迷子の時に一緒にいた獄寺の事を聞く。
「あーどうかなぁ。なぁ、ハル、獄寺ってどうしてるかしってっか?」
山本の問いに、えっとーと考えるハル。
「確か、ランチは遅れて参加するってツナさん言ってましたから…まだお仕事中だと思います」
「そっか。て言うか、多分アイツ名前が来るなんて思ってねーだろうからなぁ」
ニヤリとする山本。
「はひ?名前ちゃんは既に、獄寺さんともお知り合いですか?」
山本の台詞に驚くハル。
「ああ、名前が迷子の時、アイツも一緒だったからな」
「そうなんですかー。皆さん名前ちゃんといつの間にかお知り合いになってるんですねぇ」
「だなっ」
山本は、少し考えると名前に名案を思いついたような顔を名前に向ける。
「名前。多分、獄寺の奴遅れてくるだろうから、後で一緒に迎えに行こうぜ」
『むかえいく!でもぉ、いまいかないのぉ?』
「あーいやぁー、まだいいよ。あいつが来たらオレが名前の独占率下がるじゃん」
『????どく??せんりつぅ??』
謎の言葉に良く意味が分からず不思議そうな顔の名前に、山本は「まあ、いいからいいから」と笑う山本。
「山本さん。ツナさん所に行ったら、名前ちゃんは多分…」
「ん?多分なんだ?」
「雲雀さんが独占だと思います」
ハルは、ラブラブですからぁとまた言い、頬に手を当て想像モードになり口元が思わずにやけている。
「え?なんだそれ?雲雀だろ?え?え?」
ハルの言葉が、理解不能の山本ではこの後、ハルの言っている事に納得してしまう展開が待っているとは思いもよらない。
『ねーねー。たけしくん。おいしいもんたべるのたのしみだねぇ』
そして、呑気に美味しいものが食べられる事で頭がいっぱいで浮かれている名前は、山本の肩にのって楽しそうに鼻歌を歌っていた。
2009.8.1
* ATOGAKI ******
ぐはぁ〜なんか長くなってしまったぁ
なんとか、山本を登場させたかったもんで…ふう。
さて、山本VS雲雀VSツナの展開になるんでしょうか?
うーん(どうかなぁ…)
さらに、獄寺はいつ登場すんだよー
って感じで…本日はココまで☆
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