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Lunch time1

『キャーッ☆』

ツナの屋敷に着いた名前と雲雀。
ハイテンションではしゃぐ名前は、悲鳴と共に走り出そうとする所を雲雀に腕を掴まれ阻止される。

『おぉ??』

予想外の展開に、自分の腕を掴む雲雀を『なあに?』と不思議そうな顔で見つめる。
雲雀はそれを見て、呆れた顔をしながらも少し笑いながらため息を付く。

「興奮して走ると転ぶよ」

『だいじょうぶぅ!ころばないよ!』

不満そうな顔で、雲雀を見上げる。

「名前をカタカナで コロブ!コロブ!コロコロ」

『ヒバードまで!ころばないィィィーッ』

ヒバードにまで言われ、両手をブンブンと振り回しながら『ちがうー!!』と反論する名前に、ヒバードが『コロブ コロブ』とさらに連呼する。
そんなヒバードを追いかけて走り出す名前の後姿を、雲雀は呆れた顔で見つめる。

「転ぶって言ってるのに…ヒバードもからかい過ぎ」

名前の後を追い、ツナの屋敷の敷地に足を踏み入れる。
門をくぐると、まず視界に緑樹の天井が広がりその道を抜けると、明るい洋風の庭園が広がり、更にその先には屋敷への入り口が見えて来る。
しかし、雲雀は庭園に行く手前の道で、元気に走って行った名前に直ぐに追いついてしまった。

ヒバードを追って走っていた名前は、止まって…と言うよりも、しゃがみこんで丸くなっている。

「ねえ、なにしてるの?」

『ううう゛……』

少し涙目になった大きな瞳を雲雀に向けをる。
その名前頭に、ヒバードがちょこんと乗って楽しそうに言葉を繰り返す。

『コロンダ コロンダ 名前をカタカナで コロンダ』

ヒバードの台詞で、一層涙目になる名前。
痛いと言うよりも、転んだショックの方が大きいようだ。

『ううううううう゛』

「だから言ったでしょ。自業自得だね」

『う゛??じごじとくぅ???う゛????』

そんな難しいことを言われても何が何だか分からない。
ショックの上に、更に意味が分からない台詞に、雲雀を涙目プラス不思議目でジッと見つめる。
そんな名前を、呆れ顔で見る雲雀はしゃがみ込むと、名前のと、怪我が無いか確認をする。
手の平は転んだ時に手を突いた様で、少し赤くなってはいるが、泥が付いている程度。
膝小僧は若干擦り剥いているようだが、血は出ていないようだ。

「痛い?」

雲雀に走るなと注意されて転んでしまった手前、質問されても痛くても言えず

『い、いた…くない!!!』

思い切りブンブンと頭を横に振って『だいじょうぶだもん』と、意気込む名前。
雲雀は、その割りに自分が来るまでしゃがみ込んでいたくせにと思いながらも、強がる名前を見て、意地悪い笑いをする。

「オテンバなお姫様だね。まあ、それだけ元気があれば大丈夫。でも、気をつけてよ」

『ごめ…なさい』

「後で、一応消毒しないとね」

シュンとする名前の頭を優しく撫で、先に歩き出そうとする雲雀の手を、名前の小さな手がキュッと掴む。

「ワオ。どうしたの?」

『てーつなぐ…』

俯いて、雲雀の手を引っ張る名前。

『だめ?』

名前はばつが悪そうに、拗ねた仕草をしながら雲雀の顔を見つめる。
そんな名前の、頭を雲雀は優しく撫でながら笑うと

「また転ぶと大変だからね」

『ころばないよーっ!!!!でもぉ…てぇつなぐのぉ』

「ふーん。でも、手を繋ぐより…」

『うぉ???』

名前を片手でヒョイと抱き抱える。

「こっちこっちの方が転ばない」

抱きかかえられ目線が雲雀と同じになった名前は、頬をピンク色に染めて嬉しそうに笑う。

『うん。こっちのだっこの方がうれしい』

「そう?」

キャッキャと喜ぶ名前。

「ねぇ」

『ん???』

「帰ろうか?」

『えええー????』

「・・・・・・」

うれしそうにしている名前が可愛く。それを見ていたらやはり、群れるよりも…そう考え、名前を抱えたままやはり帰りたい気分になる。
来た道を戻ろうと方向転換したが、そこに気が抜けたような明るい声が聞こえ、雲雀の足を止めさせた。

「雲雀さーん。どこ行くんです?今来たばかりですよね」

方向転換を余儀なくされ不満げに振り向く雲雀に、ニコニコとした楽しげな笑顔を投げかけながらツナが立っていた。

「沢田綱吉…タイミング悪いね」

「え?グッとタイミングのような気がしますけど…。調度、庭で準備をしているハルと京子ちゃんの様子を見に行く所だったんですよ。良かったー雲雀さんと、名前ちゃんに会えて」

「……(帰りたいから…)」

嫌そうな顔でツナを見つめる。
ツナはそんな雲雀の態度をいつもの事で馴れているためあまり気にした風もなく、雲雀に抱えられた名前の方に話し掛ける。

「名前ちゃん。いらっしゃい」

『ツナさん!こんにちわぁ』

雲雀の腕に抱えられたままの名前は、少しハニカミながらもツナに笑い掛ける。

「良く来たね。今ね、庭でハルが名前ちゃんのためにランチを用意してるんだよ」

『ハルちゃんいる??』

「うん。あとね、京子ちゃんもいるよ。京子ちゃんはまだ会ったことないよね」

『きょこちゃん?』

聞いたことがあるような気もするものの…今一つの顔の名前に、「紹介するからね」ニコリと笑うツナ。

「あ、雲雀さん庭に行きましょう」

「……(だから、帰りたいんだけど)」

ブスッとしている雲雀の顔を、不思議に見る名前。

『きょうやくん?』

名前は不満げな雲雀の顔を不思議そうに見つめ、自分の小さな手で雲雀の頬に触れるながら『だいじょうぶ??』と心配そうに呟く。
雲雀は、名前の手に顔を寄せつつその小さい手を、抱きかかえていない手で触れながら、名前の手のひらにキスをする。

「なんでもない」

『うお?』

「行くよ」

気を取り直し、雲雀はスタスタと歩き出す。
とりあえず今日は、名前の為に(いろいろ)我慢しよう。

実は、声を掛ける前から二人の姿を見つけて様子を見ていたツナは、雲雀の名前に対する行動に驚いた。
抱きかかえているのもそうだが、楽しそうに笑って…さらに、手の平にキスとは…。
ハルから既に聞いてはいた事ではあったが、雲雀がこれほどまで名前を気に入っているなんて…以外と言うしかない。
ラブラブといっていたのは、ハルの大袈裟な表現かと思っていたのに、それを自分の目の前で見せ付けられるなんて…。
オレと名前ちゃんが、話をしているだけでヤキモチを焼くなんて、まあ、雲雀さんらしいと言えばらしいのかなぁ。

「面白いなぁ」

ツナは、雲雀の後ろ姿を見ながらクスクス笑い、先に歩く2人を追い掛ける。



木々を抜け洋風の庭園が見えると、庭の木陰で昼食の準備をしている、ハルと京子の姿が見えた。
ハルの姿を見つけた名前は、嬉しそうに手を振ってハルの名前を呼ぶ。

『ハルちゃーんんんん!!!』

名前の声に気が付き振り向くハルは、嬉しそうに名前に手を振っている。

「名前ちゃん!いらっしゃーい!!!こっちですよぉ!」

ハルの横にいる京子も楽しそうに笑っている。

『きょうやくん!はるちゃんとこいってくる』

抱きかかえたままの名前を下に降ろし、「転ばないでよ」と注意をする。

『はーい』

元気な声で返事をすると、嬉しそうにハルの方にパタパタと走って行く名前を見守る雲雀。
その名前の後を、ヒバードが付いていく。



「雲雀さん!オレを置いていくなんて酷いなぁ」

先に歩いていた雲雀に追いついたツナは、文句を言いつつも笑いながら雲雀に近づいてぼそりと囁く。

「それにしても、さっきのヤキモチは大人気ないですよ」

ジロリとツナを睨む雲雀。

「余計なお世話」

雲雀の台詞にツナは呆れたような顔をしながら肩を竦め、本当に…名前ちゃんの威力は凄いなぁ…とツナは雲雀に聞こえない小さな声で呟いた。


そして…
まもなく昼食会が始まろうとしていた。


2009.7.28


* ATOGAKI ******
ふいー。
やっと、沢田亭に踏み入れましたぁ
良かった良かった。雲雀さんたら帰っちゃ話が進まないですからね。
ツナが来てくれて助かったぁ〜
なんと言うか…キャラに助けられるって何でしょう?
今回、雲雀さんが名前ちゃんに甘える的仕草の手の平チューシーンが今一つ上手く書けてないのが…文才不足を痛感してます(ToT)こんなんじゃだめだーぁ
なんとか、いつもの如く…皆さんの想像力でカバーしてやってください。←って!!それでいいのか自分。
さて、次から…他の守護者も登場かと。
って、誰がくるかなぁ〜。


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