Preparation
雲雀が出掛け、そろそろ昼になろうとしている。
名前の出掛ける準備に悪戦苦闘の草壁と、出掛けるのが嬉しくてジッとしていられない名前。
『てつさん!きょうやくんもーくる?』
頬をピンクに染めながら、ワクワクした瞳を草壁に向け、ジッとしていられなくて、思わず足をバタバタする。
「そうですね、だから準備を早くしないと…あ〜っ。じっとして!!」
草壁の注意もなかなか上手くいず、支度が進まない。
『おでかけうれしぃー』
興奮する名前の周りを、ヒバードがパタパタ飛んで、更に名前の興奮に拍車を掛ける。
キャーキャーと喜んで両手を伸ばして、ヒバードを捕まえようと暴れている。
恭さんが来る前に終わるのだろうか…。
不安に思いながらも、楽しそうにはしゃぐ名前が、可愛く微笑ましい。
「ヒバード。少し飛び回らずにジッとしていてくれないか?名前の準備が出来ない」
ヒバードは草壁の言葉が理解出来たのか、草壁のリーゼントの頭の上ににちょこんと乗ると並盛中校歌を歌い始める。
その光景が面白くて、名前は『おぉ〜っ』と声を上げつつ動きを止めて見ている。
草壁は、今の内にと準備をテキパキとする。
なんとか雲雀が来る前に服を着替え、髪もいじってもらってお出掛けモードになった。
服は、雲雀が前に選んだ若草色の小さな花が散りばめられた可愛いワンピース。
髪は、ちょこんと左右を結んでピンク色のリボンが結ばれている。
『お〜っ』
そんな自分の姿を鏡で見つめ感動の声を出し、クルリと回ってワンピースの裾をフワリ広げる。
『ねーねーてつさん』
「はい?」
『ね、おひめさまみたいだよね』
草壁に可愛く微笑みながら、キラキラした顔を向ける。
そんな名前を見ながら
可愛すぎて、これを恭さんが見たら…今日の昼食に行かないとか言い出しそうだ…
草壁の頭に不安な考えが横切る。
名前は、草壁からの返事がもらえず、キョトンとした顔をして見つめている。
「てつさん。わたし、おひめさまない?」
名前の声に、返事をしようとした草壁は、たった今部屋に入って来た人物の言葉で遮られた。
「ワォ。可愛いね」
「恭さん」
『あ〜っ。きょうやくん!!』
「準備完了なの?」
パタパタと雲雀に駆け寄る名前を、ヒョイと片手で抱き上げ、自分と同じ目線に抱える。
雲雀が来たのを喜ぶ名前に、雲雀は、目を細め小さく微笑みながら顔を寄せると「ワンピース似合ってるよ」と優しく囁く。
『ほんとぉ〜っ』
「うん」
えへへと照れながら笑い、雲雀にコショコショと耳打ちする。
『あんね、おひめさまみたい?』
雲雀の答えをワクワクしながら待つ名前をクスリと笑う。
「んーどうかな…」
『う…』
雲雀の考えているような顔に、唇を尖らせて残念そうな名前の顔。
それを雲雀は意地悪く見ながら、名前の頭をクシャリと撫で、「お姫様より可愛い」額にチュッと軽くキスをする。
『おぉぉ/////』
予想外の雲雀の言葉に、照れ赤くなった頬に両手をを当て『えへへ』と照れ笑いを返す。
可愛い名前を見て「行くの辞めようか」とポツリと言う雲雀。
そセリフを聞き逃さなかった草壁は、ヤハリか!?と内心慌てる。言い出したら雲雀はそのまま行動に移すに違いない。
「恭さん!?そっそれは…不味いのでは」
そんな慌てる草壁を、ジロリと睨む。
「名前を見せるのが勿体無い」
「きょ、恭ーさん!」
『…きょうやくん。いっしょおでかけない?』
首をちょこんと傾げ、残念そうな顔をしながら雲雀の服を引っ張る名前。
「ん?出掛ける所を変更しようか」
『お?』
「恭さん!?」
「哲。何か文句あるの?」
一層不機嫌に睨まれれば反論出来ず、草壁の頭の中はこれからなんと沢田さんに言い訳をしようかと考え始める。あー損な役だ。
名前を抱いたまま、プラン変更を真剣に考えている雲雀の携帯が、並盛中校歌を奏でる。
その着信先の表示を見て、機嫌良くしていた雲雀の顔が一気に不機嫌に曇ったが、仕方なく携帯に出る。
「なに?」
いつもよりもさらに単調に感情がない雲雀の声。しかし、電話の主はあまり気にしていないのか、明るい声が携帯から漏れてくる。
「あ、雲雀さん。もう直ぐお昼ですけど準備大丈夫ですか?もうこっちに来ます?」
携帯からツナ声が雲雀の耳に届く。
「……」
無言の雲雀の顔を不思議そうに覗き込む名前にも、ツナの声が小さく聞こえて来る。
『ツナさんから??』
「もしもーし!雲雀さん聞いてますかぁ」
「……」
更に、眉間にシワを寄せる雲雀。
「もしもーし」
「聞こえてる」
「電話なんですから、ちゃんと返事してください」
雲雀の表情が見えないツナは、明るく話しているが、もし電話の相手の顔が見れたとしたら多分…同じように話せないに違いない。
雲雀の顔は、それ程嫌そうな顔をしている。
そんな不機嫌な雲雀を見ながらも草壁は、タイミング良く連絡をくれたツナに対して感謝する。
これで言い訳を考えなくても良さそうだ。
「で、なに?」
「なに?じゃないですから。電話して良かったなぁ。雲雀さん!ちゃんと来てください。今回は、欠席は駄目です!」
「…行くよ」
ツナと話を面倒になり、何か言っているツナの声を無視して通話を切り、携帯を閉じる。
「念押しして来るなんてムカつくよ」
『きょうやくん。ツナさん?』
「ん?まあね。仕方ないから、予定通り沢田の所へ行くよ」
『おーっ!!』
「名前あまりはしゃぎ過ぎないでよね」
『はーいっ!!!』
めいっぱい元気な返事をする名前に、その元気が心配だとため息を付きながらも、草壁を残し名前と共にツナツナの屋敷へと向かう。
その後ろを、パタパタとヒバードが飛んで来ると、ポフッと名前の頭に乗る。
『ヒバードもいっしょぉ』
「イッショーイッショー」
『てつさぁん。いてきまーす!!』
ブンブンと手を振る名前に、草壁は手を振り返し「行ってらっしゃい」と頭を下げた。
******
雲雀との電話のやり取り後、切れた携帯を見るツナ。
「あ…話してる途中なのに、雲雀さん酷いなぁ」
何故か表情は楽しそう。
「10代目。雲雀に電話ですか?」
「うん。今日はちゃんと来て欲しいから。スペシャルゲストの為に念押し」
「はぁ」
楽しそうにするツナを不思議に思う獄寺。
雲雀に念押しする程のスペシャルゲストとは何者なのだろうか…どこかの巨大マフィアの要人なのだろうか…だとしたら、10代目の右腕としてビシッとしなくては、厳しい顔をする獄寺。
「隼人にも前に話したと思うけど、可愛い女の子がスペシャルゲストだよ」
「はぁ?」
「隼人もちゃんと出席だからね」
「ガキがスペシャルゲストって…」
獄寺の緊張感が一気に抜け、それならば途中少し顔を出す位でいいだろうと軽く考える。
「書類を片付けたら行きます」
「えーそうなの?ん〜まぁいいけど。」
「では、また後で」
ツナに一礼をし、部屋を後にす獄寺。ツナはそんな獄寺を、仕方ないなかと言う顔で見送り
「さて〜ハルと京子ちゃんの準備の様子でも見に行こうかな」
執務室を出て、庭でランチの準備するハルと京子の二人の元に足を進めた。
2009.7.23
* ATOGAKI ******
あ…あれれ???沢田亭まで辿り着けてないですよ!
だってー!!雲雀さんとイチャイチャしたかんたんです(≧△≦)
それじゃあ仕方ないと許してください!!!
そして…私的に、獄寺と名前ちゃんの再会が楽しみだったりするんですよねーえへへ〜(なんか危ない??)
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