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Crayon

ふんふんふ〜ん♪

鼻歌混じりの名前は、寝転がって画用紙にグリグリとなにやら楽しそうに描いている。
その周りを、ちょこちょこと動くヒバード。

『あ〜っ!!だめーよぉっ!!ヒバードうごいたらかけない』

ぷーっと不満そうな顔でヒバードを見ているが、言われたヒバードに分かる分けもなく、ちょこんと名前の描いている画用紙の上に乗る。
ヒバードの下にある画用紙は、黄色のクレヨンで歪な形の丸い物が描かれている。

『もーぉ。ヒバードかいてあげてんのー。もすこしじっとしてぇ』

画用紙にまた続きを描こうと画用紙にクレヨンを向けると、ヒバードは、遊んでいるのと勘違いしているのか、名前のクレヨンに近づいたり、腕に乗ったりする。

「名前をカタカナで、名前をカタカナで」

『うーっ!!こらぁヒバードぉ』

名前は文句を言いつつも楽しそうに笑うと、当初の目的を忘れヒバードとじゃれ始めてしまっている。

『あははは』

クレヨンを持ちながら遊んでいたのが不味かった。転がっている時に、畳にクレヨンを付けてしまい、気が付いた時には既に遅く…畳にくっきりとクレヨンの線が描かれている。

『!!!!!!?うっ』

クレヨンを握りしめ、畳を呆然と見る。

『ど、ど…どしよ…』

「名前をカタカナで!ドウシヨードウシヨー」

名前の頭にぽすっと乗ったヒバードは、歌うように繰り返えす。
じーっと、固まったままの名前。

『お、おこられる?』

両手を頬に当て、ムンクの叫びのような状態で慌てながらも、取り合えずこれをなんとかしなくちゃと、じたばたと無駄な動きをしている。

『う゛ああ!!』

勢いよく手のひらで、クレヨンの線を擦ってみた。
が…クレヨンが更に広がってしまっただけの様に見える。

『ど、どうしよ』

オロオロしながら、何とかクレヨンを消すモノを見つけなくてはと、画用紙で汚れた部分を隠し、廊下に恐る恐る出る。
忍び足で廊下を歩く名前後を、パタパタとヒバードがパタパタ飛んで付いて来くる。

「ドウシヨードウシヨー」

『わわわわーぁ!!!!ひっ、ヒバードぉ!!しーぃだよ』

「シーシー」

楽しそうなヒバード。



「名前さんどうかしましたか?」

背後から急に草壁に声を掛けられビクッと体を硬直させつつ、恐る恐る後ろを振り向き草壁にヘラッと笑う。
名前の不振な笑い顔を見つめる草壁。

『なっ、なんもーない。けどぉ…』

「?」

もじもじしながら

『あ、あのね…けすもん…てなに?』

「え?消す?」

『けすの』

「消すって…例えば、消しゴムとかですか?」

『けしごぅ。きえる?』

「そうですね、鉛筆で書いたものとか消えますけが」

名前パッと顔を明るして、嬉しそうに手を振ってパタパタと走り去っていった。

「何だったんだ??」

草壁は、名前の真意を掴む事が出来ないまま、名前の後姿を見送った。

和室に戻り、画用紙を持ち上げると隠していたそこから再び汚れが姿を現す。
『はーぁ』ため息を付き畳をマジマジと見つめる名前手には、消しゴムが握られている。
思わず手にぎゅっと力が入る。

『けし…がんばる』

「ケシケシ名前をカタカナで」

名前の頭の上で、応援するヒバード。

『おーーーーーーーっ!!』

意気込んで、ガッツポーズをする。


ゴシゴシ…ゴシゴシ…ゴシ…


『・・・・・・』

畳を見る。

『あわわわ』

更に悪化してしまった様な…。

『けし…ない』

消しゴムで畳を無理やり擦ったおかげで、妙な毛羽立ちが畳に出来てしまっている。
どうにかしないと…「うーんうーん」腕を組み頭を捻る。
なにやら思いついたのか屈んで畳に向かう。


……。


『あわわわわ』

汚れてしまった部分を、畳に似た色のクレヨンで上から書いてみた。が、クレヨンで誤魔化せるわけも無く…ガックリと落ち込むしかない。
名前が名案と思った行為は、またもや傷口を広げ、名前は、どうする事も出来ない状態になってしまった。

『どーしよおぅ』

蒼白な顔で、汚れた所に体を突っ伏してジタバタする。これで消えたらいいのにと思うものの、起き上がっ見るが、消える訳もなくガックリする。


う゛ー、う゛ー

「名前?なに唸ってるの?」

ギクリ!

その声にビクリと体が反応する。

「ねえ」

声が掛かり、またビクリとする。
おずおずと声の主を見つめる。

『きょうや…くん』

内緒の場所から体を起こし、そこは画用紙を乗せながら、更に上に座って隠す。

「ん?」

そんな名前を見つめる雲雀の頭の上にヒバードがポフッっと乗り、「ケシケシ」と連呼する。

『あわわわわ』

そんなヒバードを見て慌て両手をワタワタと振る名前。

「ケシケシって…なに?」

慌てる名前に向かい疑問符を投げかけた。

『な、なんもないよ!!』

慌てる名前を目を細めてジッと見る。

「何が何もないの?」

『とね、なもないの』

「そう」

薄っすらと笑う雲雀を見て、ないしょに出来たかな?と思い、名前は胸に手をあて、ホッとした顔をしている。その顔をジッと見つめる雲雀。

「名前。こっちにおいで」

優しい声で呼ぶ。が、何故かその声が妙にギクリと名前をさせる。

『とぉ…ここいる』

「なんで?おいで。

……」


雲雀は、動かない名前に近づき見下ろす。

「ねぇ。なに隠してるの」

ドキッ!!!ドキドキドキ

ペタンと座ったまま恐る恐る雲雀を見上げる。

『とぉ』

もじもじしていると、雲雀は、名前をフワリと抱き上げた。

『わ、わっ』

「で、下に何があるの?」

抱き上げたまま、名前がお尻の下にあった画用紙を片手で待ちあげて見る。

『だめ!!!』

小さい手で見えないように雲雀の顔を覆おうとするが、上手く目隠しにならない。
描かれた画用紙の黄色い物体を見る「ヒバードを描いてたの?」特に隠す物でもないのに…そう思っいながら見ていると、画用紙に落とした視線の端に畳にある汚れに視線が行く。

「ワオ。それなに?」

激しく汚れた畳。
名前は、ばれてしまったと名前は、ガックリとした様子で畳を見下ろし、視線を雲雀に移す。

『とー』

慌てた顔をしている名前を見つめる。

「これを隠してたの」

不機嫌そうな声。

『う…くれよんでびーってなって、きれいしようとおもたら…』

「ふーん」

雲雀の顔を覗き覗き込む。

『う…ごめんなさい…』

「……」

『おこた?』

「そうだね」

雲雀の一言でシュンとし、俯きながら泣くのを堪えているようで顔が赤くなりながら下唇をギュッと噛んでいる。
「畳というより、僕に隠し事をしようとしたことがね」

『ほえ?』

名前の頬に手を当てながら「僕に隠し事は許さないよ」そう言うと、頬を軽く抓る。

『い、いたぁーぁ』

「分かった?」

『うーっっ。わーったぁ。ごめんなさぁい!!』

頬を抓られたまま、痛いのを堪えながら涙目で雲雀を見つめる。

「分かればいいよ。それにしても…畳、酷い事になってるね」

『ごめんなさい』

雲雀は、落ち込んでいる名前を一旦下に下ろし、屈み込んで汚れた畳に触れる
「最初の段階で言って欲しかったけどね。哲になんとかさせるからいいよ」

『う゛…』

「反省しているんでしょ?」

コクリと頷く。

「次は、気をつけて。それと…またやって、僕に隠そうとしたら…」

『かまれちゃう?』

落ち込んだままの瞳のまま雲雀を見つめる名前に、ニヤリと笑い。

「そうだね…それより大変になるかも。クスクス」

『うえぇぇぇぇ????』

咬み殺すより大変ってどんなの?と動揺してオロオロする名前を、面白そうな顔で見つめる雲雀。

「隠さないでいればいいだけでしょ。まあ、悪い事をしたらお仕置きは必要だけどね。分かってる?」

『う、うん』

「今回は、お仕置きして欲しい?」

雲雀は、名前の顔を優しく両手で包み込むと、意地悪そうな顔で耳元でそう囁き、クスクスと笑う。

『おしおき、いなないよぉ!!』

「そう。残念」

「名前をカタカナで。オシオキ、オシオキ」

『おしおき、ないよーぉ』

飛び回るヒバードを、抗議するように手を上にブンブンと振り回しながらパタパタ追いかける。

「反省が足りないみたいだけど?」

『うぉ???』

その台詞にピタリと動きを止める。

『はんせーしてっもん』

雲雀は、名前の体を後からギュッと抱き締める。

「しようか?」

『う゛????』

「お仕置き」

微笑む雲雀。



2009.7.5
* ATOGAKI *******
前回で、30話だったんでー区切りまして
今回から、Uに入ります(あ、あんま意味ないっすよ)
そしてですで、今回の話はー何てこと無い日常??的話っす
ですよねー???
さて、雲雀さんのお仕置き…どんなっすかねぇ。
うーん。可愛く…くすぐりの刑とか??

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