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reach the limit
ぽかぽかの良い天気
縁側近くでゴロリと転がって、庭をボケーッと眺めるながら
側にいるヒバードを撫でる。

今は、広い和室にヒバードと名前だけ。
雲雀は、出掛けている。
ボーッとしている。退屈虫が騒ぎ出す寸前。だが、出掛ける前の雲雀との会話を思い出す。


「名前」

『なに?』

ヒバードと遊びながら側に立つ雲雀を見上げる。
着物からスーツに着替えている雲雀。

「出掛けてくるから。大人しくしててよ」

『は〜い。いってらっしゃい』

元気に手を振り雲雀を見送ったのは少し前。

おとなしくと言われた割に、初めの内和室でバタバタと走り回っていたが、それも一段落してしまってゴロリと転がる。
ヒバードは、チョコチョコと動いて、転がる名前のお腹の上に乗ってみたり、頭の上に来たりしていて、その度にキャッキャッと喜ぶ名前。

『あ〜きょうやくんいつかえってくるのかなぁ…ねぇ〜ヒバードっ』

特段雲雀が遊んでくれる訳ではないが、やはり近くにいて欲しいと思う。

ちぇっ

ゴロゴロ…



ふと耳をすますと、廊下を歩く足音が聞こえて来る。

きょうやくんかな?

期待するものの、足音が雲雀のそれと違う気がする。音が近づくにつれドスドスと勢いが増している。
話声も聞こえてくる。
どうやら、足音の主と、草壁が話しているようだ。
草壁の声から少し困っているのが分かる。

「ですから、雲雀は今出掛けています」

「なに〜!!またこの間のように居留守だろ!」

「いえ、本当に居ないんです」

声がどんどん大きく聞こえて名前の居る和室に近付いてくる。

だれ?

ドキドキして来て、体を起こしヒバードを両手で抱え、ゴクリと息を飲み襖を見つめる。

「雲雀ぃ!!!!オレは、極限にプンスカだぞっ」

バン!!!
大きな声と共に襖が開くと、短髪の青年が勢い良く部屋に入って来た。
その勢いに、驚いて動きが停まったまま瞳をパチパチしる名前。
青年の背後から慌てながら草壁がやって来る。

「笹川さん。ですから、雲雀は居ないと何度も言ってるじゃないですか」

「……。草壁。この子はもしや、

雲雀の子か!?」

部屋の入り口で止まり振り向き草壁に問う。

「は?」

部屋にいる名前は、驚いたまま大人二人をマジマジと見つめている。

「違いますよ」

ため息の後、疲れ気味に答える草壁。

「違うのか。しばらく会わん内に出来たのかと思ったぞ」

部屋にズカズカと入り名前の所まで来ると、ニカッと笑いながら名前の頭をワシャワシャと撫でる。

「オレは、笹川了平だ」

了平の何もかもが迫力があり、押され気味になる。

「ん?どうした?」

『!! 名前だよぉ!!』

負けないようにと思ったのか、いつも以上に大きな声で自分の名前を名乗った。

「そうかぁ!名前というのだな。よろしくな。オレは、了平でいいぞ。はははは」

『……』

無駄に迫力がある。

「で、名前はなんでここにいるんだ?」

しゃがみ込み名前と同じ目線になる。

「笹川さん。その件は、後ほど雲雀に聞いてくださった方が…」
了平の背後から、草壁が答えた。

「そうなのか?」

『あ、あのね!きょうやくんがかえってくるのをまってるんだよ』

草壁から名前に視線を移し、おおそうか!と笑いながら、再び名前の頭をワシャワシャと撫で、名前も了平に笑い掛けた。

「しかし、名前!子供が家の中ででゴロゴロしているなんていかん!外で元気に遊ばんとなっ!!!」

『ほえ?』

「折角来たのに雲雀も居ないしな。名前雲雀の代わりに、オレの相手をしてくれ!」

『え?』

「極限にそとでオレと遊ぼう!!はははははー」

なぜか、ボクシングのファイティングポーズをする。
なんだか楽しそうで、名前は遊びに行きたくなって、目をキラキラさせている。

「笹川さん。それはちょっと…」

困った様子の草壁。

「なんでだ?」

「雲雀の許可がないと…」

もし、了平と出かけた事が雲雀に知れたら…多分…イヤ絶対…面倒な事になる。

「許可などいらんだろ?遊びに行くだけだ」

「(いや…それがマズイんですって…)」

そう言っても了平に通じないだろう。どうしたものか…。

「それに、あいつが他人の事など気にせんだろ?」

「しかし…(多分、名前に対しては違うと…)」

言葉を濁す。

「どうせ雲雀の帰りは早くないのだろ?」

「そ、それはそうですが…」

出掛ける時に、夕刻には戻ると言ってはいた。

「だったら平気だっ!なっ!名前」

『うん』

名前も外に行きたくてウズウズしているので草壁が外に行くのを許してくれないかと期待の視線を送っている。

「……。仕方ない…ただし、遅くならないでくださいね」

「おう」

『はーい!!』

嬉しくてはしゃぐ名前。

『ヒバードもいっしょいい?』

「もちろんいいぞ!」

『やったーぁ。ヒバードよかったね〜いっしょにあそぼ』

「名前をカタカナで!ヒバリ!ヒバリ!」

名前の頭上を飛び回りながら何故か、雲雀の名前を言い出すヒバード。

『え?』

なにかな?と考える。


 大人しくしててよ…


そう言って出かけた雲雀を思い出した。

『……。おやくそくあった…』

「どうした?」

急に静かになった名前を不思議そうに見る。

『んとね、きょうやくんがかえってくるまでおとなしくしててねって、いってたから…』

いかない。と、台詞を続けようとしたが、了平の迫力に遮られ。

「そんなの大丈夫だ!オレが後で雲雀に言ってやるぞ」

『んと…』

「少しなら大丈夫でしょう。多分…」

『だいようぶ?』

「ああ、大丈夫だぞ。それに雲雀は、他人と群れるのは好きではないのだから気にせんだろ。特に、子供は…苦手なはずだしな」

  ドキン

『ん?』

こども?

  ドキン ドキン…

わたし?

『あれれ?』

なんあだろう。いまの。
にがて?
にがってって…なんだろ?
んと…んと…

なんかモヤモヤするよ?

頭の中でぐるぐる考えていたが、了平にガシッと掴まれ片手で抱き上げられ思考を遮られた。

「行くぞ!」

『う、うん』
遊びに行けるという気持ちの方が先に出て、不安な気持ちが隠れた。

「笹川さん。気を付けてください。名前さんも、怪我をしないように」

「おう」

『はーい』

やはり一抹の不安があるようで、心配そうな表情で二人を送りだす草壁だった。


「公園に行くか」

『うん。すべりだいしたい』

「よーし!!!!極限にすべろう」

『きょくげんんんん〜
 
…んと…

あのね、きょくげんてなに?』


「ははははー名前は、面白い奴だなぁ」



2009.6.4

.* ATOGAKI ******
笹川兄!登場。
兄の性格ってーこんなんですか?
極限に兄の扱い難しい〜!!!!!

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