ふきげん。
「……」
いつもの事であるが無表情の雲雀。
外出先から戻った姿を見掛けた草壁が、声を掛けたが草壁に視線を向ける事無く、無反応なまま通り過ぎでしまう。
表情では分からないが、その態度で何やら外出先で雲雀の意に沿わぬ事があったのだろう。
何があったのだろうかと、有能な秘書の役割をこなす草壁は、雲雀に起こった事をクリアーにする為に頭を捻る。
しかし、雲雀の向かう先を見て、それは無用な事だったと気付く。
しばらくしたらいつもの恭さんに戻るな。
それは予感や予想では無く、確定事項。
雲雀は、いつもくつろいでいる和室へと向かっているのだから。
そこにいる、小さな少女が雲雀を元気に迎える事だろう。
『あぁぁっ!!きょうやくん、おかえんなさぁぁい』
「ただいま」
雲雀の無表情が微かに崩れる。
不機嫌なんて、君の笑顔で簡単に消える。
2013.5.16
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