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8月27日*ねむいけど…*

コックリ。コックリ。

船を漕ぎ、頭が忙しなく右左…前後と揺れる。
寝る時間はとっくに過ぎているけれど、眠い目を擦りながら眠気と戦う名前。
その横には、困った顔で草壁が佇んでいる。

「名前さん。もう寝る時間ですよ」

何回も言っているのだが、なかなか寝る準備をしない名前。
それもその筈で…名前の大好きな人がまだ帰って来ていないから、眠くても眠くない。いや、寝たくない。

『だめよぉぉ。まだぁねないのよぉ…。だてぇ、ねむないも…んぅ』

最後まで上手く話せず、眠気で閉じそうになる瞳を無理やり見開き涙目で、草壁に抗議の声を絞り出す。

困った…。

雲雀の帰る時間が予定より遅れ、名前のいつもの寝る時間が過ぎていたのだが、あと少しで戻ってくるだろうと、甘やかして寝かさなかった自分に反省する。

「ここまで来ると…恭さんの帰る時間は読めませんし、寝ないと明日の朝起きれませんよ?」

なんとか名前を寝かそうと試みるが・・・

『むぅ。ねむないからぁぁ。きょうやくんまってんのぉ。おかえりいうのよぉ』

眠くて閉じかけた目を擦りながら、これは意地になってしまっているのが分かる。
ここで、柔らかい布団にポフリと転がったらもう3秒と言わずに寝てしまいそう。

『……ん…』

名前と草壁の攻防が数十分繰り広げられる中、もう名前の限界と言う所で、帰宅して来た雲雀。

スーツ姿で和室に姿を現すと、名前の眠気もその瞬間だけ取れたように、明るい表情になって雲雀を見詰める。
草壁もなんとかこれで名前が寝てくれると安堵。

『きょうやくんだぁぁ。おかえんなさぁぁい』

「ワオ。名前、まだ起きていたの?」

いつもより遅い時間なのに名前が起きていた事に意外な顔をし、側にいる草壁に、夜更かしさせるなんて…と鋭い視線を向ける。
その視線を感じて、草壁も申し訳ないと畏まりながら恐縮している。

トコトコと歩いて雲雀の足にしがみ付く名前の顔は、やはり眠そうでトロンとしている。
いつもの元気な姿と違って、力無くしがみ付いてくる名前に、雲雀は自分の身を屈めて名前の体を受け止める。

『ただいま』

雲雀の声に、名前は嬉しそうにヘラリと笑うと、雲雀に甘えるように自分の顔を雲雀の顔に頬ずりしようと近づける途中で、残念ながら眠気の限界に達してしまい、顔を雲雀顔を通り過ぎ、ポスっと肩に頭を乗せ寝息を立て始める。
寝てしまうと、起きているときよりも少し重みを感じるその体を、雲雀は優しく抱きしめて、自分の肩に乗った名前の髪に優しくキスをする。
名前は、大好きな人の腕の中で安心しきった緩んだ顔で夢の世界。

大好きだからいつも待っていたい。
そして会って、抱きしめて。
お帰りなさいって言って、ただいまって言ってくれて、キスをして…

腕の中で眠りたい。



20100829


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あきゅろす。
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