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It goes out.

「出掛けるよ」

ヒバードとじゃれている名前が見上げると、スーツ姿の雲雀が立っていた。

『いってらっしゃ〜い』

「……」

『ん?』

「名前も」

雲雀が出かけるだけかと思いお見送りをと思ったが、一緒のお出掛け…。

『きょうやくんと?』

キョトンとした瞳で見つめ返す。

「僕以外と出掛けたいの?」

名前は、ブンブンと勢いよい頭を振り、振り過ぎたのかクラッと来る頭を押さえつつ
少し噛み合わない会話の雲雀を見つめながらも、一緒のお出掛けが嬉しくて、

『やったぁ』

と、飛び跳ね雲雀の足抱きついた。
雲雀はそんな名前の行動に少し驚き微かに、瞳を見開く。

そんなに喜ぶなんて……。

思わず手が伸び、名前の頭をくシャリと撫でる。

自分の取った行動に対して雲雀がそんな事を思っているとは思わず、下から楽しげにニコニコして見上げている。

『きょうやくんとおでかけっ!!』

「オデカケ」

ヒバードがピョコピョコ飛び跳ねるように近付いて来た。

『うん』

ヒバードに嬉し返事をしつつ、雲雀を見つめ

『ヒバードもいっしょ?』

「留守番」

『……そっかぁ』

名前の回りをピョコピョコと動くヒバードを捕まえて

『ヒバードはぁ〜おるすばんだよぉ。まっててくれる?』

と話し掛ける。

「オデカケ!オデカケ!」

名前の言葉が伝わっているのか分からないが、名前の小さな手に乗るヒバードは、体を手のひらにすり寄ってくる。
くすぐったくて、可愛くて、ヒバードを見つめていると。

雲雀はポンと、名前の頭に手を置き。

「ヒバードは、待ってるよ。」

『……』

名前は、雲雀に視線を向け、静かに雲雀は言葉を続ける。

「名前も…ヒバードの所に帰って来るでしょ」

『うん。』

「マツテル!マツテル!」

『おやくそくだね』

何か自分を言い聞かせるように人差し指で優しくヒバードの頭を撫でる。


待ってるからね

待っててね

待ってるよ


その言葉は、ある意味呪文のように…。




「行くよ」

『はぁ〜い。ヒバードまっててね』

小さな手を振り雲雀の後を追う。

『きょうやくん』

「なに?」

『んと、どこいくの?』

「買い物」

『おかいもの?』

「名前のね。何もないでしょ」

荷物と言えば、雲雀と会った時に持っていた小さいポシェットがある位。
必要最低限のものは無くては困るだろう。

「恭さん」

名前を連れて廊下を歩いている姿を見かけた草壁が声を掛ける。

「恭さん!今日の午後は確か、沢田さんの所では…あと…」

草壁の声を遮るようにジロリと睨み

「ああ…。

……。

午後の用事は全部キャンセルするから。

あと…沢田の方は頼むよ」

「……。

へい」

雲雀と名前を見送る。



歩の早い雲雀に追い付こうとパタパタ走り、心配そうに雲雀の顔を覗き込む。

『きょうやくん。おしごとへいき?』

名前の頭を撫で少し微笑むとまたスタスタと歩き出す。

変な気遣いは、不要だよ

そう言っているような…。

名前雲雀が自分の頭に残した優しさを感じながら。前を歩く雲雀に追い付こうとまたパタパタと息を切らせながら走り近づくと、雲雀の手を握る。

「……

向こうで迷子にならないでよ」

『うん』

「返事はいいね…」

『えへへ』



2009.5.17

.* ATOGAKI *******

て〜訳で、雲雀さんとお出掛けですよ
って〜出掛けるまでの前置き長っ!?

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