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8月13日*おさそい*

「みんなで一緒に行きたいって思うよね」

ニコニコ笑いながら問い掛けるツナ。

「だよな、一緒に行こうぜ」

爽やかな微笑みで誘う山本。

「あ…まぁ、10代目がそうおっしゃるんだ。一緒に行ってやる」

全く素直じゃない獄寺。

「そうだね、みんなで行ったら楽しいよね」

名案だよと、明るく賛同する京子。

「うん…。いいと思う」

ふわりと笑って頷くクローム。

「そうだ!極限みんなで行くぞ!」

熱い叫びを上げる了平。

「ですよー!みんなで花火に行きましょう。ねっ、名前ちゃん」

とどめの誘いの言葉を掛けるハルの微笑み。

『……』

先程から熱烈なお誘い。
それは、明日行われる毎年恒例の花火大会。
名前と共に行きたいメンバー達。しかし行くためには、雲雀をなんとか陥落しなくてはいけないのだが、直接攻撃で雲雀が頷くはずも無く…。
やはりここは、名前から雲雀にお願いをしてもらわなければと、名前を囲んでお誘いをしていると言う訳。

『わたしも…いっしょいいのぉ?』

「「「「「「「もちろん!!!」」」」」」」

声をそろえて頷くみんなの迫力に、ビックリ眼でパチパチと瞬きする名前。
花火大会をみんで行けたらきっと楽しいに違いない。
楽しそうと想像してニマニマしている名前に、ツナからのお願いの言葉。

「それで、名前ちゃんは雲雀さんを誘ってほしいんだよね」

『ほえ?』

雲雀を誘うと言われ、名前の中では既に雲雀も一緒に行けると思っていた事なのに、なんでかな?と不思議そうな顔を向ける。

「雲雀さんは、群れるのが嫌いだし…なんと言うか、なぁ…ん…」

雲雀の思惑はきっと、名前と二人でのんびりと邪魔者もなく花火大会を堪能したいと思っているに違いない。
だからこそ、雲雀から先に誘うと土壇場でツナたちを撒くという手段に出ることが考えられる。
だからこそ、それを阻止するために名前に声を掛た。
そうすれば、名前がブレーキになって撒かれる事無くみんなで楽しく花火が見れるに違いないと。
それが今回のメンバー全員の一致の会見。

「きっと、名前ちゃんが雲雀さんに、みんなで一緒に行こうよって誘ったら喜ぶに違いないです」

ハルが思わずツナの助け舟を出す。

『きょうやくんよろこぶぅ?』

「そうだね、みんなで花火大会って楽しいもんね。雲雀さんもきっと喜ぶよ」

京子も天然のコメントで後押しするれば、そっかと納得して頷く名前。

「花火大会には屋台も出るしなっ。一緒に美味いもん食べようぜ」

山本からの美味しい物と言う提案で、食いしん坊の名前は更に顔を輝かせる。

『うん!たべるよぉぉ。たのしみねぇぇぇ』

花火が楽しみなのか、食べ物が楽しみなのか…なんだか名前の中で微妙なバランスになりながらも、ニコニコと可愛く笑って返す。


ああ…可愛いなぁ。
その微笑に、みんなホノボノと癒されてたり。



 ※※※※※

『きょうやくぅぅぅん』

屋敷に戻ると、名前は真っ先に雲雀の許へ駈け寄る。
子犬がじゃれるように、雲雀の周りをぴょんぴょんと楽しそうに跳ね回る。

「どうかした?」

興奮している名前の頭を撫でてやると、嬉しそうに雲雀の足にしがみ付きながら顔を上に向け、大きな瞳をキラキラさせながらおねだりをするような目線を向ける。

「なにか企んでるでしょう?」

『ほえ?たくなに??』

「企むって言ったの。何かあるの?」

名前の頭を撫でていた手がするりと流れるように名前の頬に下り、頬から伝ってくすぐるように指は顎で止め、名前の目線まで屈んだ雲雀は名前との顔の距離を一層近くにする。
雲雀の指がくすぐったくて、肩をキュッと上げながら目を閉じ『くすぐたぁぁ』と笑う。

「で、なにがあるの?教えなよ」

名前の企みを囁くように問い掛けると、閉じていた瞳を開け、雲雀を見詰め合う名前と雲雀。

『あんね、あしたね、みんなでぇはなびね、みよぉぉぉ?』

「……」

その言葉にピクリと眉を上げる雲雀。部屋の温度が若干下がった冷たい気が漂って来るものの、名前はそれを読む訳もなく、雲雀の了解の答えをワクワクと待っている。

『とね、ツナさんとぉ、ハルちゃんとぉ、きょこちゃんとぉ、たけしくんとぉ、はやととぉ、りょーへーおにいちゃんとぉ、くろむちゃんとねぇ、みよってね、おやくそくしたのぉ。きょうやくんもいっしょねっねっ』

「……」

フルメンバーの名前を聞いて、余計に雲雀の表情が強張る。

『きょうやくんいないとぉやだもん。はなびいこぉぉぉよぉぉぉ』

名前にそう言われてしまうと嫌だと言える訳もない。
今年の花火も名前と共に見に行こうとは思っていたからスケジュールは空いている。空いてはいるが、それは名前と二人でと見ようと思って空けていた。他のメンバーの為ではない。

が…名前の純真な瞳がキラキラと雲雀を写せば、溜息を付きながらも頷くしか出来なかった。

「いいよ」

『ほんとぉぉぉ』

やったぁぁとはしゃぎながら、雲雀の周りを元気良過ぎる程に飛び跳ねる。

『きょうやくん。はなびたのしみねぇ。わーい。わーい』

はぁ。
名前に甘すぎる自分を呪う。
そこが、周りの者にさらに振り回されてしまう原因なのだが…現在直しようがない。


まったく。振り回されるのは名前だけでいいのに。



さて、14日。
明日はみんなで楽しい花火大会。



20100813


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