8月12日*くるくる*
新しい服を着る時はなんだか嬉しくて、いつもより気分が弾む。
新しい服を着て嬉しいのと、これから雲雀とお出掛けをするという2つの楽しいが重なって、名前のテンションは更に高い。
可愛らしいデザインの淡い色合いのワンピース。
短めの裾は、くるりと回れば蝶々が飛ぶようにフワリト広がる。
その度に裾から名前の可愛い柔らかそうな太ももが露わになったり…。
そんな事など気にせず、広がる様が楽しくクルクル回り続け、それは回り過ぎだろうと誰か突っ込んでもいいんじゃないかと思うほど。
『あははは…。めーぇ、くるくるなったぁ』
回りすぎてクラリとした頭を押さえなが畳にペタリと座わると、そのままコロリと転がり一休み。
転がっていると、雲雀がそろそろ出掛けるよと名前を迎えに訪れた。
転がる名前に近付いて上から見下ろせば、名前は雲雀に小さな手を伸ばして笑う。
「何してるの?そろそろ出掛けるよ」
『あんね、くるくる〜ってまわってたらね、ふあふあってなったのぉぉ』
「……そんなに回ってたの?」
『んとぉ。わかんなぁい。だってね、おもしろいだよぉ!!』
ぴょこんと立ち上がると、雲雀の前でまたくるくる回って見せる。
『ねーっ。おもしろい!ちょーちょさんみくなるよ』
「……」
確かに可愛いデザインのワンピースは、名前にとても似合っている。
しかし、雲雀の視線は納得出来ないと言った少し不機嫌そうな顔。
『きょうやくん?』
難しそうな顔の雲雀にキョトンとしながら問い掛ける。
「……だめ」
『ん?』
なんだろう?雲雀の呟きがよく聞こえなくて、もう一度聞き取ろうと近付いて名前は小首を傾げながら雲雀を見上げる。
そんな仕草の名前を見つめ、軽く抱き上げ、自分の頬と名前の頬を付けぎゅっと抱きしめる。
『ほ、ほえぇぇぇ?』
なんだか状況がよく分からないけれど、大好きな雲雀に抱きしめられれば嬉しくて、名前も雲雀の首に手を回してギュッと抱きついて首元に顔を埋める。
「だめ…だよ」
『ん?だめ??』
「今日の予定はキャンセルする」
『きやんせえるぅ??』
なんだろ?と思っている名前の頬やおでこに、雲雀はキスをしながら
「出掛けるのは辞めたってこと。今日はこのまま一緒に居よう。名前は嫌?」
雲雀に聞かれれば、フルフルと首を振る。
『いやないよぉ!!だって、きょうやくんといっしょならいいもん』
元気に答えて、雲雀に抱きついて甘える名前。
急な予定変更。
仕方ない。
だって名前が可愛すぎて
誰にも見せたくなってしまったのだから。
今日は、可愛い名前を独り占め。
20100812
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