好きなモノ(山本)
『武ってさぁ、本当に焼そばパン好きだよね』
私の隣で購買で売っている焼そばパンを、それは嬉しそうに食べる武。
焼そばパンもそこまで美味しそうに食べられたら本望に違いない。
「ここの焼そばパンは、本当に美味いからな」
パンと一緒に、これまた武の大好きな並盛牛乳をゴクリと飲む。
「ん〜やっぱ、焼そばパンと並盛牛乳のセットは最高なのな」
武の好きなモノは、挙げれば沢山ある。
『武の好きなモノはさぁ』
「ん?」
『購買の焼そばパンに、並盛牛乳に、野球に、おじさんのお寿司に…』
武の好きなモノを、指折りながら次々と挙げていく。
『好きな物が、盛り沢山だよね。これだけあると、ただの欲張りだよ』
あははは…と笑えば、武も「なのなぁ〜」とか言って笑って返してくる。
「でもさぁ」
『ん?』
「今挙げたモノに、オレの一番好きなもんがまだ出てないぜ」
あれ?なんだろう?
一通り言ったと思うんだけどなぁ。
『えっと…何だろ』
「知りてぇ?」
勿体ぶった素振りで、ニヤニヤ笑う。
ん…。
『あ、分かった!武の一番好きなのはねぇ、私でしょ』
なんてね〜。
「なんだよ、知ってたのなぁ」
は?
ウケ狙い的に言った台詞だったんだけど…。
固まる私の横で「なんだ、バレてたのなぁ」なんて明るく笑う。
『あの…今のは、冗談で…“んなわけないのなっ”て、突っ込む所なんですけど』
「ん?だって正解だからなぁ。突っ込みも何もないだろ?」
えっと…。
『本当に?』
「おう」
爽やかな笑顔にクラリ。
『そうなんだ…』
思いもしなかった。
無理だと思ってた…。人気者の武だから、友達でもいいかなって。
『あのさ、私も…武の事、好き。だよ』
「なんだぁ、俺達、相思相愛なのな」
本日。
二人の好きな物リストに、お互いの名前があったのを確認。
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