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利害一致。(骸)

黒曜中学に転校生がやって来た。
転校生は、ちょっと回りと距離を取るような感じで同級生に対してもなんだか丁寧な口調で受け答えをする男子生徒。
名前は、六道骸くんと言う。

私は学級委員と言う立場からなのか?はたまたお節介な性格だからなのか…
いや多分両方だからかもしれない
彼が転入してきてから毎日声を掛けていた。

『六道くん!!どう?もうクラスには馴染んだ?』

『六道くん!!学校の事とかで分からない事とかない?』

『あ、六道くん!!次の移動教室場所分かる?』

『ねぇ、ねぇ、六道くん』

最初の内は軽い受け答えをしていた六道くんだったけど、最近は私を見ると微かに眉間が寄っている表情になる。
ちょっと構いすぎちゃっただろうか?
でも…なんだか気になってしまうのだから仕方がない。
だって凄く距離を感じてしまうのだ。

そして今日も声を掛ける。

『六道くん!!おはよう♪あのね』

「すみません。いい加減気が付いてもらえませんか?」

ため息混じりで六道くんは言った。

『えっと…気が付くって?何に?』

きょとんとする私に、六道くんはまたため息を着く。

「教室ではなんですから…」

『ん?』

六道くんは教室から出て行こうとするので、ここは私も着いていくべきだと思い後を追う。
たどり着いたのは屋上。

『えっと…六道くん?』

「僕の回りをうろうろされると迷惑なんです」

六道くんは冷たい視線でいい放った。

『うろうろなんてしてないよ!!私はただ、六道くんが転校してきたばかりだから大丈夫かなって思って』

「そうですか」

『そうだよ』

「では、僕は大丈夫ですので」

『大丈夫?』

「ええ。ですからもう僕には用は無くなりましたよね?」

六道くんは、私が心配だと言う言葉をあっさり拒絶。

『でも、クラスメートなんだし声掛けたっていいでしょ?』

拒絶されてなんだか意地になってしまい言い返すと、六道くんに鼻で笑われた。

「ふん 。たまたま同じ教室に振り分けられただけですよ?」

『う…』

もっともなご意見で言い返せない。

「それに僕はなんの利益も得られない関係と言うものを求めていません」

『な…なにそれ?利益?』

「そう利益です。君は何か僕に利益をもたらしてくれるのですか?」

六道くんが求める利益とは一体何だか分からない。
理解できない。
でも…なんだかここで引き下がったら負けな気がする!!

『あ、ある!!あるよ!!』

そう答えてみたものの…何も思い付かず勢いで口走った。
私の言葉に、六道くんはちょっと驚いたって顔を一瞬したけれど、それは一瞬の事で直ぐに元の顔に戻る。

「あるって言いましたが、一体君は僕になんの利益をもたらしてくれると言うんです?そもそも、人の繋がりは何かしら利益が無ければ成立しないと僕は思います」

淡々とした物言いに何だか寂しく感じる。

『うーっ』

考え込んでしまった私に向かって呆れ顔をしながら六道くんはため息。

「僕の言いたいことは終わりです。もう僕には声掛け不要ですので」

『待って!!利益は…利益は…私が楽しいから!!きっと六道くんも楽しくなるよ!!』

「はぁ?」

『だ、だから!!楽しくなるって言う利益があるの!!た、多分』

「……多分?」

『そう、その…多分?』

勢いで言ってしまって…その後ちょっと不安になってモゴモゴ…

「ク…クフ…!」

『ん?くふ?』

見ると…六道くんは笑って…いる?

「クフフフ…」

『ほら!!楽しくなってるじゃない!!どうだっ』

なんで六道くんが笑っているのかよく分からないけど〜楽しいから笑ったんだよね。
どうだっ!!って顔をしてみた。

「クハっ。全く…馬鹿な人ですね」

『バ、バカ?なにそれ!!酷い』

「いいでしょう」

『ん?』

「君は変わった人なんですね?」

『え?』

「君の言葉通りの利益を僕にくれると言うのなら、期待してますよ。出来るものならしてみて下さい」

う…なんて挑戦的。
何だか六道くんのイメージが変わった気がするんだけど…でも、なんかよそよそしいのが無い分いいかも。

『いいよ!!任せて!!楽しくなるから』

そう言ってガッツポーズをしたら
また小さく、クフフフって笑ってた。


もっと笑えば言いと思う

笑うって利益はを六道くんにあげるよ
楽しそうな六道くんを見ると私も楽しくなるから

利益関係ってよく分からないけど
これがきっとー俗に言う利害一致って事だね。


『六道くん。これからも宜しくね!!』





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