疑問解明難攻不落。 『副委員長』 「ん?どうした?」 『あの…』 じっと副委員長を見つめる。 何時にもなく真面目モードだったからかもしれない。副委員長が、心配そうな顔を私に向ける。 『委員長は…』 「委員長がどうかしたか?」 副委員長に聞いてもいいのだろうか? 悩む。 『その…なんと言うか…いえ、なんでもありません。あ、その書類委員長の所に持って行くんでしたっけ、私が行きます』 「何か委員長の事で聞きたかったんじゃないのか?」 見掛けは怖い副委員長だけど、実は真面目で優しい。 心配されてしまった…。 『いえ、ちょっと疑問があったんですけど、大した事じゃありませんから』 「…だったらいいが、何かあれば言えよ」 『はい』 やっぱり優しいなぁ。 彼氏にするなら副委員長みたいな人がいいと思う!うん。 副委員長の何気にファンだったりする私なのだ。 書類を手に、委員長がいる応接室へ向かいながら、頭の中はやっぱり気になっている疑問がぐるぐると巡る。 駄目だぁ。 やっぱり気になる。 ****** 応接室で、私が持って来た書類に目を通す委員長。 「……」 『……』 「……」 『……』 はぁ。 書類を見ていた委員長がため息を付く。 そんな内容の書類だったかなぁ? 「ねぇ、何?」 『は?』 書類から視線を外した委員長は、ジロリと私を睨む。 「何かあるの?」 『えっと…私、何か口走りましたか?』 無意識に何か言っていたのだろうか?そんな自分の意識から背く口は持っていない筈だけどなぁ? 「用がないのに必要以上に見ないでくれる?煩わしいよ」 『へ?』 いやぁ…用が無い訳じゃありませんよ。だってその書類を委員長が見た後職員室行くんだから、委員長待ちと言う用があるんだけど…? 『えっと…そんな熱い視線でした?』 思った事は言わないで、軽い言葉を返したら、鬱陶しいと吐き捨てられた。 くそーぉ。 でも、いつも以上に委員長を見ていたかもしれない。 もやもやする疑問を抱えているから。 少しすると、目を通し終えた書類にサインをして、これでいいと私に渡す。 『……』 「……」 『あの』 「…何?」 『一ついいですか?』 委員長は冷たい視線を私に送るけど、駄目だとは言わないので、多分私の話を聞いてくれるみたい。 『私の家の朝食は、いつもパンなんですけど…』 私の話に、委員長はピクリと眉を潜める。 「待って、それ何か僕に関係あるの?」 『あると思います』 「…そう。じゃぁいい」 『で、今日の朝食に出たパンが、フランスパンだったんです。で、それを見て何かに似てるなって思ったんです。フランスパンて、こんな形じゃないですか』 フランスパンの形状を、ジェスチャーで表現して、長細いパンの形を作る。 『いつもは、食パンなんです。でもフランスパンを見たら何故か親しみが湧いて来て、なんでだろうって。で、さっき副委員長と話ていて分かったんです!風紀委員の髪型だって。皆さん、長ーいリーゼントじゃないですか』 自分としては、凄い大発見の出来事だったんだけど、委員長は冷たい視線のまま。 『委員長は、フランスパン好きなんですか?』 「は?」 『風紀委員全員リーゼントだし、長いリーゼントはフランスパンに似てるし、委員長はフランスパンが好きで、長いリーゼントがそれに似ているからみんなが、委員長の大好きなものを表現してるのかなぁって』 「……」 『私、さっきからそればかり頭の中でぐるぐる考えちゃって』 「もしかして、それでさっき鬱陶しい位見てた訳?」 『鬱陶しくは見てませんけど…それを考えながら委員長が書類を見終わるの待ってました』 カタリ。 座り心地の良さそうな椅子からゆったりと立ち上がる委員長。 私を見つめる目がなんとも…怖いんですけど…。 『あー。フランスパン好きじゃありませんでした?』 ピクリ。 「これ以上喋るな」 『えっと…あー。フランスパンに似てませんでした?』 イライラ。 「僕は、フランスパンが好きらしいから、君もフランスパンみたいにしてあげようか?」 あーなんだか、委員長のムカつきスイッチがONになりました。 ぎゃん!! どこから出したか分からないトンファーで一撃を食らう。 す、す、凄く痛い! 本当に、委員長は容赦ない。 でも…どうやら 委員長は、フランスパンそんなに好きじゃないと言う事が分かりました。 んーじゃぁ、副委員長が好きなのかなぁ フランスパン。 2012/2/10 BLOGより転記2013/6/18 [*前へ][次へ#] [戻る] |