端午ノ悲劇
5月5日、午前11時、晴れ…。
今日は端午の節句だ。
まぁ、中学生にもなれば鯉のぼりや五月人形なんかをわざわざ飾って今日という日を祝ったりはしないのだが…。
毎年、母さんが作ってくれる美味しい柏餅だけは楽しみだったりする…。
そんな訳で台所をチラチラと気にしつつ、リビングでチビ達の面倒を見ていたのだ。
しかし…一体、何処で何を間違ったのか…。
(なに…、コレ…)
ふと気付けば場所は沢田家から並中へと転換…。
しかも、此処は応接室で…。
黒地のハート柄パンツ一枚という有り得ない姿を晒して革張りのソファーで仰向けに寝転がって居て…。
「やぁ…。おはよう…」
目の前には最凶中学生・雲雀恭弥が自分を見下ろしているなんて…。
―――コレって、一体…どーいう状況…!?!?
いやいや…、落着け…。
先ずは、落ち着いて記憶を辿ってみよう…。
先程まで、確かに自分は自宅でチビ達と遊んでいた。
―――で、ふと最強家庭教師・リボーンに声を掛けられ、振り向いて…。
(アレ…?)
―――そのあと、どうなったんだっけ…?
実におかしなモノで、その後の記憶がプッツリ途切れている…。
まさにブラックアウトだ。
(なんで…?どうして…!?)
おかしい…、絶対におかしい…!と、目を白黒させていれば―――。
「赤ん坊からのプレゼントらしいよ…」
唐突にヒバリさんは宣うが…。
「はい〜…!?」
一体、なんの事やら皆目見当も付きません。
―――ていうか、プレゼントって…。
(なにが…?なにがプレゼントなワケ…!?)
告げられた言葉の意味も理解出来ずに困惑、混乱…。
そんな心境を察してくれたのか目の前の彼はニヤリと笑い…。
「今日、僕の誕生日なんだ」
と、御丁寧に教えてくれた。
―――と、いう訳で…。
「はぁ…。おめでとうございます…」
とりあえず形ばかりの祝辞はしてみたが…正直、“だから、なに…!?”って感じだ。
確かに“おめでたい”事ではある。
けれど、ソレと自分が裸で応接室に居る事とが全く結び付かない…。
だから勇気を振り絞って尋ねてみた。
「あの…。それで、プレゼントって…?」
ビク付きながら問い掛ければ返って来たのは不敵な笑みと…。
「君だよ…」
なんて、トンデモ無い言葉であった。
「なっ…!?!?」
―――なんですとーっ!!?
と、当然の様に驚いた訳だが…。
驚くべきはこの後の展開だ。
「ちょっ…、やっ…!?ヒバリさん…!??」
在ろう事か彼の顔が鼻先へと迫り…。
「ひっ…!!?」
同時に下着を脱がされたモノだからビックリ仰天だ。
「な、ななっ…なに、するんですかっ…!!?!?」
「“何”って…。抱くに決ってるだろ?」
「んなーーーっ!!!!」
至近距離でシレッと宣う発言に殊更仰天…。
有り得ない展開に意識が飛びかけるも気絶なんてしてられない…。
「まっ、待って…。落ち着いて下さい!ヒバリさんっ!!」
自分の身(貞操)を守るべく躍起になって訴えかけるも…。
「嫌だ」
アッサリ拒否…。
そんでもって…。
「い、いやぁぁ〜〜〜っ!!」
―――暗転…。
あんなコトやこんなコトをされた悲劇の少年、沢田綱吉の悲鳴だけが麗らかな五月の空に木霊したそうな…。
〈終わり〉
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